国際問題

イラン・ロシア:国内弾圧と対外冒険主義が相互に強化し合う

イランでの全国規模の抗議活動は、テヘラン政権の脆弱性を露呈しただけでなく、国内弾圧がロシアとの連携維持にいかに寄与しているかも浮き彫りにした。両国の関係は相互に強化し合う構造にある。

2026年3月28日、ウクライナ・オデサで破壊された家の廃墟の中に散乱するおもちゃ。[Nina Liashonok/NurPhoto/AFP]
2026年3月28日、ウクライナ・オデサで破壊された家の廃墟の中に散乱するおもちゃ。[Nina Liashonok/NurPhoto/AFP]

Global Watch |

2026年1月、経済的困難が引き金となりイラン各地で抗議活動が発生し、通貨の急落と経済運営への不満の拡大の中で、社会不安がいかに急速に政権にとっての国家安全保障上の危機へと発展し得るかを改めて示した。

人権団体の報告によると、地方都市では大規模な国家的対応が展開されたという。しかし、通信規制や外部からの立ち入り制限のため、全容の把握は困難な状況が続いている。

当局は厳しい弾圧に踏み切った。

人権監視団体がまとめた証言によれば、治安部隊は複数の州で致死的な武力を行使し、ほぼ全面的なインターネット遮断を実施したうえ、大規模な逮捕や強制失踪を行った。とりわけ国際社会の目が届きにくい地方の中小都市で、こうした措置が顕著だったという。

2025年7月23日、ウクライナ・キーウの外務省近くで撮影された、イラン製無人機シャヘド136を基にしたロシアの自爆ドローン「ゲラン2」。[Maxym Marusenko/NurPhoto/AFP]
2025年7月23日、ウクライナ・キーウの外務省近くで撮影された、イラン製無人機シャヘド136を基にしたロシアの自爆ドローン「ゲラン2」。[Maxym Marusenko/NurPhoto/AFP]

人権団体は、弾圧が残忍であるだけでなく、組織的に調整されたものであったと指摘した。

イラン人権センターは、ケルマーン、ロレスターン、フーゼスターン、クルディスタンの各州で軍用兵器が使用されたことを記録している。

主任研究員エスファンディアール・アバン氏は、この弾圧を「世界の目が届かない場所で行われている」と表現した。

暴力の広がりを受け、各方面から強い懸念の声が上がっている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2025年のイランにおける死刑執行数が2,000件を超え、1980年代後半以来で最も高い水準に達したと報告した。

国連の専門家らは、透明性の確保、通信アクセスの回復、被拘束者の所在開示、そして人権侵害疑惑の究明と責任追及を求めている。

共通の生存戦略

しかし、この弾圧は単独で起きているわけではない。国内での政権維持と対外強硬姿勢を連動させる、より広範な統治戦略の一環なのである。

その意味で、イランの動向は重要パートナーであるロシアとますます軌を一にしている。両政権とも、国内では強制手段に依存する一方、対外紛争を通じて国力を誇示し、弾圧を正当化するとともに、国内の失敗から国民の関心をそらそうとしている。

その類似性は、単なる修辞的な一致にとどまらない。

テヘラン政権はロシアに対しシャヘド型ドローンを供与しており、米欧当局の発表によれば、ロシアのウクライナ侵攻で使用された弾道ミサイルも提供したとされる。

これに対し、このパートナー関係は、国内の緊張が高まる中でイランに政治的庇護、軍事技術、経済的な命綱を提供するとともに、 より広範な地域戦略および核態勢の強化にも寄与しており、 欧州当局者らはこれを、直接的な安全保障上の懸念として次第に捉えるようになっている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2026年3月17日、両政権の関係を「憎しみの兄弟」「兵器の兄弟」と表現し、その本質を端的に言い表した。

この関係は相互強化の構造にある。イランは兵器の実戦検証と反西側陣営での地位向上を図れる一方、ロシアは戦争継続に不可欠な弾薬供給を確保できる。

分析筋は、両政権が政治的にも利益を得ていると指摘する。対外紛争は、国民の不満を外部へそらし、国内統制を強化し、異論をより広範な対外脅威の一環として位置付けるのに役立っているのである。

世界が抱える安全保障リスク

だからこそ、イランの国内弾圧は、国境を越えて広範な影響を及ぼすのである。

自国内の抗議活動に武力で弾圧する政権が、同時に欧州におけるロシアの戦争遂行を兵器面で支援している。ウクライナ都市部を攻撃するイラン製ドローンは、ある権威主義国家の生存戦略が、他国の侵略を直接的に強化し得る現実を浮き彫りにしている。

この関係は逆方向にも作用している。ロシアからの石油収入、外交面での支持、軍事協力は、イランの地域的な野望を支え、核計画を含むより広範な戦略的姿勢を維持する後押しとなっている。

この連携が放置されれば、中東から欧州に至る複数の戦域で、安全保障リスクが高まることになる。

この悪循環を断ち切るには、非難声明だけでは不十分だ。イスラム革命防衛隊に対する継続的な制裁、独立した市民社会への強力な支援、そして両政権に対する協調した圧力―これらこそ、両国の弾圧能力と対外侵略能力を抑制しようとする各国政府が掲げる中心的な手段なのである。

ゼレンスキー氏が2026年3月に主張したように、イランでの抗議活動は単なる国内危機としてではなく、権威主義国家の連携ネットワークを弱体化させる機会として捉えるべきである。

したがって、イランの各州で展開されている事態は、単なる地域的な弾圧の物語にとどまらない。

それは、国内弾圧と対外冒険主義が相互に強化し合う、より広範な構図の一部なのである。西側諸国政府とそのパートナーにとって、この関連性を認識することこそ、整合性があり効果的な対応に向けた第一歩となる。

この記事は気に入りましたか?