防衛動向
スウェーデン、ロシアの脅威を受けて防空体制を強化 再軍備政策の一環
スウェーデンは、ロシアによるウクライナ全面侵攻を受け、さらに2024年にNATO加盟を果たしたことを受け、軍事支出の増額を加速させている。
![2024年2月20日、ストックホルム南方にあるスウェーデン軍ベルガ海軍基地で行われた軍事演習に参加するスウェーデン海軍のCB90型高速強襲艇。[ジョナサン・ナクストランド/AFP]](/gc7/images/2025/12/01/52967-swed-370_237.webp)
AFP&Global Watch |
スウェーデンは、ロシアからの脅威が高まる中、ミサイルやドローン、戦闘機から自国を守るため、35億スウェーデンクローナ(約2億3300万ドル)相当の対空防衛装備を導入する。
スウェーデン軍は11月25日、IRIS-T地対空短距離ミサイルの購入に約20億クローナ(約2億1200万ドル)、およびその運用に必要な発射車両の整備に15億クローナ(約1億5900万ドル)を投資すると発表した。
「これは我が国の防空態勢を大きく強化する措置です。」 国防相のパール・ヨンソン氏は、スウェーデン南部ハルムスタッドにある防空連隊で開いた記者会見で、記者団にこう述べた。
同氏はさらに、「この装備は、戦闘機や巡航ミサイル、各種ドローンを撃墜するために使用される」と付け加えた。
防衛大手のサーブ社は、スウェーデン国防物資庁(FMV)から地上配備型防空システム向けのセンサーおよび指揮統制(C2)システムを受注したことを明らかにした。契約額は21億クローナにのぼる。
同社によると、納入は2027年から2028年にかけて行われるという。
「このレーダーはたとえば、牛乳パックほどの小型ドローンを4キロメートル(2.5マイル)以上離れた地点からでも探知できます。」とヨンソン氏は述べた。
スウェーデンは、ロシアによるウクライナへの全面侵攻を受けて軍事支出の拡大を加速しており、2024年の NATO 加盟を経てその動きがさらに強まっている。
弾薬生産の増強
冷戦終結後、スウェーデンは国際的な平和維持活動(PKO)に軍事的資源を集中させる方針に転じ、防衛費を大幅に削減した。
しかし、ロシアが2014年にクリミア半島を併合したことを受けて方針を転換し、軍事支出の増加に舵を切った。
スウェーデンは、今後10年間で防衛費として3,000億クローナ(約320億ドル)を計上する計画だ。
フィンランドのアンティ・ハッカネン国防相は11月12日、AFPの取材に対し、「他の北欧およびバルト海諸国も、将来の脅威に備え、NATOの北欧地域における抑止力強化を支援しながら、防衛協力を一段と強化している」と述べた
「本日、すでに北欧諸国が保有する250機の戦闘機を空軍兵力として統合部隊として運用することについて協議しました。」と彼は述べた。
同国防相はさらに、フィンランド、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、デンマークの北欧5カ国が、弾薬生産を3倍に増強するとともに、北欧地域内での軍事的な機動性を高めるための輸送回廊を整備する計画であると述べた。
北欧およびバルト海諸国は11月13日、ウクライナ向けに米国製兵器を購入するための基金に対し、5億ドルを拠出することを発表した。
フィンランド、デンマーク、エストニア、アイスランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、スウェーデンの8カ国は共同声明で、この資金はNATOが策定した「優先的ウクライナ要請リスト(PURL)」に基づき、軍事装備品および弾薬の調達に充てられると述べた。
米国の備蓄品を購入するためのこの仕組みは、ドナルド・トランプ米大統領とマーク・リュッテNATO事務総長によって7月に発足された。