戦略的課題
中国の海底進出を阻むべく、太平洋地域の同盟国が動く
中国の海洋マッピング活動から、第一列島線を超えて影響力を拡大しようとする野心がうかがえるため、地域の主要国は防衛策の強化を加速させている。
![2025年2月26日、西オーストラリア州ロッキンガムの「HMASスターリング」に接岸したバージニア級潜水艦「ミネソタ」の艦上で監視態勢を敷く米海軍の将校。[Colin Murty/POOL/AFP]](/gc7/images/2026/05/18/55633-afp__20250226__36yj7lj__v1__highres__australiausdefence-370_237.webp)
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中国が太平洋全域にわたって海底マッピング活動を拡大していることを受けて、オーストラリア、日本、フィリピンは緊急性を高めて対応している。
ロイター通信によると、最初は太平洋のカムチャツカからマレー半島に及ぶ島々からなる「第一列島線」付近に重点が置かれていた中国の調査活動が、現在ではハワイ近海や北極海といったはるか遠方まで拡大しているという。こうした動きから、海底をめぐる競争がインド太平洋地域から北極圏やその他の戦略要衝へと広がりつつあるという、大きな傾向がうかがえる。
この大きな傾向は重要な意味を持つ。なぜなら、台湾周辺での局地的なデータ収集だけでなく、より広範囲に海軍の影響力を拡大しようとする野心を示すものだからだ。
この変化により、地域諸国の計画はすでに変わりつつある。
![2014年、海軍基地「HMASスターリング」にて、自律型無人潜水機(自律型ソナーマッピング装置)「ブルーフィン21」の組み立てを行う作業員。[AFP/AFP]](/gc7/images/2026/05/18/55632-afp__20140330__hkg9657488__v1__highres__australiamalaysiachinamalaysiaairlinestransp-370_237.webp)
これまで海底をめぐる競争を一部の海軍問題として扱っていた各国政府は現在、抑止力、インフラの安全保障、同盟間の連携といった、より大きな議論の中にこのテーマを組み込んでいる。
これは実質的に、インド太平洋地域の多くの国が防衛費をその他の分野に投じたいと考える中で、パトロール増強、監視活動の強化、防衛費の増額を余儀なくされることを意味する。
地域諸国の防衛力強化
こうした対応において、オーストラリアが中心的な役割を担うようになった。
オーストラリア、英国、米国の3か国による安全保障パートナーシップ「AUKUS」のもと、オーストラリア西海岸に設置された海軍基地「HMASスターリング」で、米英の原子力潜水艦のローテーション配備を2027年から開始する準備が進められている。また、同盟国による整備と維持管理作業はすでに始動している。
2026年2月、米海軍は、HMASスターリングでの活動について、海底戦力を持続的に「前線へ迅速かつ大規模に」展開できる「信頼できるパートナーのネットワーク」を構築するものだと述べている。
これは兵站以上の意味を持つ。インド洋の東部と東南アジアへの航路における同盟国の存在感を強めるための意図的な取り組みなのである。
同時に、日本も独自に態勢を強化している。
日本の防衛省は、米製トマホーク巡航ミサイルの発射能力の獲得に向け、ミサイル駆逐艦「ちょうかい」の改修および乗組員の訓練が米国で行われていることを認めた。これは、長距離打撃能力強化に向けた日本の広範な取り組みの一環である。
これと並行して、日本は哨戒機「P-1」および「P-3C」の配備や、協力国との地域演習の拡大など、持続的な海上監視への投資を続けている。
一方、フィリピンは、脅威にさらされる立場から、積極的に連携する段階へと移行しつつある。
3月、フィリピンと米国は、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で海上協同活動を実施した。
また、ロイター通信によると、フィリピン、米国、オーストラリアが南シナ海で別の合同演習を完了しており、その中でオーストラリアはP-8Aポセイドン偵察機を派遣したという。
こうした動きにより、フィリピン海域における圧力そのものが解消されるわけではない。しかしながら、同盟国の定常的存在感の強化によって海底をめぐる競争に立ち向かう姿勢が明確に示されている。
太平洋の小さな島国は、決して安心できる状況にはない。
大国間の競争は、安全保障面での注目を集める一方で、EEZの管理の複雑化、商業的リスクの増大、観光やインフラ投資の停滞の要因となり得る。
結果として、国家の発展か、戦略的な脅威にさらされるかという、厳しいトレードオフが生じている。
同盟国の揺るぎない優位性
中国のマッピング活動は野心的であるが、以前より構造的に不利な立場にある。
米国とその同盟国は、数十年にわたり監視、演習、連携を積み重ねてきた海洋環境で活動しているのである。
ロイター通信は、オーストラリア海軍の元潜水艦司令官であるピーター・スコット氏が、中国のマッピングデータは「戦域の準備において非常に大きな価値を持つ可能性がある」と述べたことを報じた。しかしながら、必ずしも中国が有利な立場になっているわけではない。これらの海域は、すでに同盟国の計画、監視、対潜水艦作戦に組み込まれているのである。
そこに真の力関係が存在し続ける。優位性はプラットフォームだけにではなく、ネットワークにもあるのだ。
オーストラリアのP-8部隊、日本の海上哨戒および監視体制、米国の海底インフラ、そして同盟間で築かれた情報共有の習慣が融合して、中国が単独では実現できない密度の高い作戦構想を形成している。
つまり、中国は海底の状況を容易に把握できるようにしているかもしれないが、それは競争相手国がより成熟したシステムを保有し続ける海域で行われているのである。
これは中国の脅威が小さいという意味ではない。対応がすでに進められているというだけのことだ。
中国の海底に対する野心は強まりつつあるが、その調査によって生み出される戦略的優位性を封じ込めようとする地域諸国の取り組みも同様に強化されている。
現時点では、海面下の力関係は依然として、連合体制の規模が大きく、経験が豊富で、監視網とアクセス網が脆弱でない陣営が有利である。同盟国の海洋戦略全体で相互運用性、負担分担、そして海底抑止力がますます重視されるようになったため、この傾向は一段と強まっている。