国際問題

世界は北朝鮮の核常態化を受け入れられない

中国の習近平国家主席が北京で北朝鮮指導者を温かく迎えたことと、両首脳会談の公式声明から非核化が削除されたことは、静かだが重要な変化が中国の対応に生じていることを示唆している。

2025年9月3日、北京の天安門広場で行われた対日戦勝80周年と第二次世界大戦終結を記念する軍事パレードに先立ち、北朝鮮の金正恩委員長に合図をする中国の習近平国家主席(左)。[Sergey Bobylev/AFP]
2025年9月3日、北京の天安門広場で行われた対日戦勝80周年と第二次世界大戦終結を記念する軍事パレードに先立ち、北朝鮮の金正恩委員長に合図をする中国の習近平国家主席(左)。[Sergey Bobylev/AFP]

Global Watch |

北朝鮮の金正恩委員長と中国の習近平国家主席による北京で最近開催された重要な会談は、国際社会に衝撃を与えた。

何年ぶりかに、両国首脳会談の公式声明から、朝鮮半島の非核化に関する言及が完全に削除された。これは、北朝鮮の核問題に対するかつての中国の姿勢から明らかに逸脱している。

この文言の削除は外交上の見落としではなく、北朝鮮を核保有国として中国が沈黙のうちに容認していることを示す危険な兆候である。このような変化が確認されれば、核拡散を抑制し、アジア太平洋地域の安定を維持するための世界的な取り組みにおいて、危険な転換点となる可能性がある。

厄介なシグナル

わずか10年足らず前、中国とロシアは国連安全保障理事会で米国と肩を並べ、2016年と2017年に北朝鮮に対する制裁強化に賛成票を投じた。北京の支持は、平壌に対話への参加と核開発の抑制を迫る上で決定的な役割を果たした。

今日の状況と比べると、その対照的な態度は鮮明である。習近平氏が金氏を温かく迎えたことと、首脳会談の公式声明から非核化が削除されたことは、中国の態度に静かではあるが重要な変化が生じたことを示唆している。この重要な変化は、米国とその同盟国によって支配されない世界秩序という、習近平氏とロシアのウラジーミル・プーチン大統領のビジョンと一致している。

中国が北朝鮮とそれがアジア太平洋地域の安全保障にもたらす核の脅威に対する寛容さは、そのような不安定性が中国の戦略的利益と一致する可能性があることを示している。現在の世界秩序を混乱させることが自国の目的にかなう限り、中国は北朝鮮を援護する用意があるように見受けられる。

危険な前例

北朝鮮の核保有を、最も強力な同盟国が暗黙のうちに受け入れたことは、世界に危険なメッセージを送っている。これは、核拡散が大国の戦略的利益に合致する場合、核拡散は容認され、さらには報われる可能性さえあることを示す。これは、核兵器の拡散を防ぎ、世界の安全保障を維持するための数十年にわたる国際的な取り組みを損なうものである。

アジア太平洋地域にとって、その影響は特に深刻である。北朝鮮の核兵器は、韓国や日本を含む近隣諸国に直接的な脅威をもたらし、より広い地域を不安定化させている。北京が平壌を擁護することで、他の国家や政府に同様の道を歩む勇気を与え、世界的な核不拡散体制がさらに損なわれる危険がある。

国際社会は、北朝鮮の核常態化を放置してはならない。一部の専門家は、習金首脳会談で非核化が言及されなかったことが中国の公式な姿勢転換を意味しない可能性があると指摘するが、その兆候は無視できないほど憂慮すべきものである。

外交努力は、北朝鮮の核野望を可能にする上での中国政府の役割について中国政府に責任を負わせることに重点を置くべきである。同時に、世界は既存の制裁を執行し、核兵器のさらなる拡散を防ぐ決意を高めることが必要である。

事態はこれ以上ないほど深刻である。アジア太平洋地域においては既に緊張が高まっており、長年にわたり平和維持に貢献してきた規範が損なわれる事態を許容すべきではない。

世界は、核兵器は圧力の手段ではなく、核兵器の拡散は容認されないという明確なメッセージを発せねばならない。中国とロシアが北朝鮮に接近する中、国際社会は核兵器の常態化を阻止し、平和と安全保障の原則を守るために断固たる行動をとるべきである。この事態は、傍観していられないほど重大である。

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