国際問題

ロシアと北朝鮮の軍事協定が核不拡散の取り組みを後退させる:アナリスト

アナリストによると、北朝鮮はウクライナ侵略におけるロシアの同盟国として新たに手に入れた役割を利用して、長年にわたる核兵器開発計画を加速させているという。

3月10日、ソウルにある駅構内で、テレビ画面に映る北朝鮮のミサイル実験のアーカイブ映像を放送するニュース番組を見る男性。[Jung Yeon-Je/AFP]
3月10日、ソウルにある駅構内で、テレビ画面に映る北朝鮮のミサイル実験のアーカイブ映像を放送するニュース番組を見る男性。[Jung Yeon-Je/AFP]

筆者:トニー・ウェソロウスキー |

北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻を支持する中、専門家は、両国の関係の深まりは、平壌の核開発計画を抑制する努力を妨げる可能性があると警告している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の指導者金正恩は、4月28日に、世界の大部分が長年疑問視していた通り、北朝鮮の部隊が、ウクライナでロシア軍と共に活発に戦闘を繰り広げていることを確認した。

両国によるこの事実確認は、外交的に孤立し、世界で最も厳しく制裁を受けている2つの政権間の同盟が急速に深まっていく転換点を示すものである。

2022年2月にロシアがウクライナへの全面的な侵攻を開始して以来、ロシアと北朝鮮の関係は慎重な協力関係から戦略的連携へと変化してきた。

ロシアのスプートニク通信社が配信したこの集合写真には、昨年6月19日に平壌で開催されたレセプションで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の指導者金正恩が乾杯する様子が写されている。[Vladimir Smirnov/Pool/AFP]
ロシアのスプートニク通信社が配信したこの集合写真には、昨年6月19日に平壌で開催されたレセプションで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の指導者金正恩が乾杯する様子が写されている。[Vladimir Smirnov/Pool/AFP]

かつては単なる周辺国だった北朝鮮は、クレムリンにとって重要な軍事同盟国として浮上している。

北朝鮮は、報告されているように何千人もの兵士を戦場に送り込んだだけでなく、ロシアに弾道ミサイルを含む軍事装備を供給している。

その見返りとして、クレムリンは経済支援とレーダーシステムや対空兵器などの重要な軍事装備品を提供しており、アナリストによると、北朝鮮はこれらを軍事の近代化に使用しているという。

このような軍事協力の拡大は、北朝鮮の核開発を阻止しようとする世界的な努力を脅かすものだと、アナリストは警鐘を鳴らしている。

安全保障・戦略・技術センターのアソシエイトフェローであるシュラビシュタ・アジェイクマール氏は、「ロシアと北朝鮮の関係は、国際的な核不拡散体制を揺るがすものであり、特に1968年以来国際的な軍縮の基盤となってきた『核兵器の不拡散に関する条約(NPT)』に重大な影響を及ぼす」と5月2日にオブザーバー研究財団が発表した投稿で述べている。

モスクワと平壌は昨年12月、一方の国が攻撃を受けた場合に相互に軍事援助を行うことを義務付ける相互防衛条約を締結し、両国の関係を正式に確立した。この条約は、欧米の制裁に共同で抵抗することを呼びかけ、両国の協力関係の著しい強化を示すものとなった。

両国政府が条約に署名した直後、韓国政府関係者はロシアが北朝鮮に地対空ミサイルを供与したと発表した。他の報道によると、最近公開された北朝鮮の駆逐艦(同国で最も先進的な水上艦とされている)に、ロシア製のレーダーとエンジンシステムが搭載されている可能性が高いという。

モスクワは、北朝鮮への石油輸出を実施したと報じられている。これは、北朝鮮がウクライナに対する戦争支援を強化していることに対する潜在的な報酬であるとみられている。

最前線の兵士たち

昨年10月、北朝鮮は推定12,000人の軍隊をロシアのクルスク州に派遣した。クルスク州は、昨年の初夏にウクライナ軍が奇襲反攻で奪った領土である。

ウクライナ軍がクルスク州から撤退したのは3月中旬のことであった。

4月30日現在で、約600人の北朝鮮軍兵士が戦死し、4000人以上が負傷したと、韓国の国会議員が情報筋の報告を基に発表した。

北朝鮮がウクライナで自国軍が戦闘に参加していることを初めて認めた数日後に、韓国はその推計値を公表した。

この協力関係は、「北朝鮮とロシアの関係が、単なる取引関係を超えて、より長期的な戦略的・イデオロギー的なパートナーシップになったことを示している」と英国のシンクタンクである、王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)のアジア太平洋プログラムの韓国財団フェローであるエドワード・ハウエル博士が昨年12月に論評している。

加速する兵器開発計画

「この発展途上のパートナーシップは、地域紛争のリスクを高め、現在の国際秩序を揺るがすことにより、国際社会に脅威をもたらす可能性がある」とハウエル博士は付け加えた。

北朝鮮は新たな戦争同盟国としての役割を活かし、長年推進してきた核兵器開発プログラムを加速させていると、アナリストたちは指摘している。2006年の最初の核実験以来、北朝鮮は高性能な大陸間弾道ミサイルの開発を着実に進めており、その一部は米国本土を攻撃できる能力を有している。

制裁と外交的な取り組みが長年続いたにもかかわらず、北朝鮮は技術的な進歩を続けてきた。この進歩は、ロシアからの支援が拡大していることが要因の一つだと、専門家たちは指摘している。

アジェイクマール氏は、自身の論説で「ロシアは公式には核拡散に反対しているが、実際には西側諸国よりも柔軟な路線を採用している。北朝鮮との対話に依存する傾向が強く、追加制裁を回避することで、平壌が最小限の代償で兵器開発を継続する余地を生み出している」と記している。

チャタム・ハウスのハウエル氏もこの意見に共鳴している。「最終的にウクライナ戦争が終結し、ロシアが北朝鮮の大砲やミサイル、軍隊を必要とする機会が減ったとしても、平壌は国内の核兵器開発を強化するために、復活したモスクワとの関係を利用しようとするだろう」と同氏は警鐘を鳴らしている。

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