北朝鮮の金正恩氏、軍艦からの発射実験を視察、海軍用の核兵器を視野に

AFP通信 | 2025-05-01

北朝鮮の金正恩総書記が海軍艦艇に迅速に核兵器を装備するように命じたと、国営メディアが4月30日に報じた。これは、平壌が新型の軍艦兵器システムの初試験発射を実施したタイミングでの発表であった。

その数日前に、平壌で5,000トン級の最新駆逐艦「チェ・ヒョン」が公開されたが、一部のアナリストは短距離戦術核ミサイルを搭載している可能性が高いと述べた。

国営の朝鮮中央通信（KCNA）が伝えたところによると、駆逐艦に搭載された兵器の実験は2日間にわたって実施され、金正恩総書記はその1日目に視察したという。

同通信は、同総書記がその後、当局者に「海軍の核軍備の加速化」に取り組むよう命じたと付け加えた。

北朝鮮は以前、同艦は「最も強力な兵器」を搭載しており、「来年初めに運用を開始する」と述べていた。

この軍艦は、その大きさから、艦対地ミサイルと艦対空ミサイルの両方を搭載している可能性があるとアナリストは言う。

KCNAによると、4月29日に「艦対艦戦術誘導兵器、各種の艦上自動機関砲、煙幕および電子障害砲」の試験射撃が実施され、新たに公開された艦艇が参加していたという。

4月28日には平壌で「超音速巡航ミサイル、戦略巡航ミサイル、対空ミサイル、127ミリ艦上自動砲」の試験射撃が実施された、とKCNAは追加で報じた。

北朝鮮の艦船ベースの火力システムは、「超音速巡航ミサイル、戦略巡航ミサイル、戦術弾道ミサイルを含む最も強力な攻撃手段」と「効果的に統合された」と同総書記は語った。

ソウル国防部は、米国と協力して「北朝鮮軍の造船と開発の動向を綿密に追跡・監視している」と述べている。

平壌での発表は、北朝鮮がウクライナでの戦争でモスクワを支援するためにロシアに軍隊を派遣したことを初めて認めた数日後に行われたものである。

モスクワで4月26日、北朝鮮の兵士がロシアのクルスク州で「ウクライナ軍部隊の撃破に重要な支援を提供した」と発表された。

北朝鮮は、おそらく軍隊の派遣と引き換えに、軍艦に搭載する特定の兵器をモスクワから入手した、と一部のアナリストは言う。

「北朝鮮は最近、ロシアから複数の近代兵器を輸入したようだ」と、脱北して研究者として活動している、世界北朝鮮研究所の所長を務めるアン・チャンイル氏はAFPに語った。

「北朝鮮はこれらの兵器を調達・配備して、内部の団結を強化し、軍の士気を高めるために効果的に利用した」と同氏は付け加えた。

国営メディアは4月26日、チェ・ヒョン号の進水式について報じ、金総書記が娘のジュエ氏と共に式典に出席した映像を公開した。多くのアナリストは、ジュエ氏を同総書記の後継者候補とみている。

3月、金総書記は原子力潜水艦の建造プロジェクトを視察し、海軍の「根本的な強化」が平壌の防衛戦略の重要な部分であると主張した。

その際、金総書記は、同国の水上および水中海軍部隊の近代化を呼びかけ、その一環として軍艦の開発を提言した。

平壌では以前から、「放射能津波」を引き起こすことができる水中核攻撃ドローンを開発しているという発表がたびたび行われてきた。アナリストたちは、実際にそのような兵器を保有しているのかどうか疑問視している。

ソウルと重要な安全保障上の同盟関係を築いているワシントンは、近年、当該地域で、合同軍事演習を強化し、空母や原子力潜水艦などの戦略的米国資産の展開を拡大することで、北朝鮮を牽制する動きを拡大してきた。

北朝鮮は、自らを「不可逆的な」核兵器保有国であると繰り返し宣言し、米韓合同演習を侵略の予行演習だと非難し続けている。

「北朝鮮が海軍の核武装の加速化に言及したことは、艦隊の戦術核ミサイルと戦略ミサイルの運用能力の強化を指すものと推定される」とソウルの北朝鮮研究大学のヤン・ムジン学長は述べた。

今週の実験は、北朝鮮が新たに公開した戦艦が「ブルーウォーター作戦」と呼ばれる外洋作戦能力を有するとの主張を強調するものだと思われる、と同学長はAFPに語り、北朝鮮の沿岸水域から遠く離れた海域で実施される海軍活動について言及した。