世界危機レポート

ベネズエラの長期化する人道危機と亡命危機を浮き彫りにした身柄引き渡し事件

歴史的な身柄引き渡し事件によって責任追及への一筋の希望が示された一方で、国内外の数百万人のベネズエラ人は、依然として脆弱な政治的移行期と資金不足に陥った人道危機の中に取り残されている。

2024年、ブラジルのパカライマで、ベネズエラとブラジルの国境を越えた後に歩くベネズエラ人難民たち。[Alan CHAVES / AFPTV / AFP]
2024年、ブラジルのパカライマで、ベネズエラとブラジルの国境を越えた後に歩くベネズエラ人難民たち。[Alan CHAVES / AFPTV / AFP]

筆者:John Fernando Muñoz |

スペイン政府は6月2日、2014年にベネズエラで起きた反政府デモに対する政府の弾圧の際、人道に対する罪としての殺人を犯したとして告発されている元ベネズエラ国家警備隊将校について、スペイン国内に居住する同氏のアルゼンチンへの身柄引き渡し要請の手続きを進めていることを確認した。

その人物は、ボリバル国家警備隊(広範な人権侵害に関与してきた軍事化された警察組織)の元将校であるエフライン・エンリケ・ベルドゥ・トレジェスである。

もし身柄が引き渡されれば、彼はこの事件においてアルゼンチンの裁判所に直接出廷する最初の人物となる。

「ベネズエラの被害者たちは国内で正義を得ることができておらず、今回のアルゼンチンによる身柄引き渡し要請は、正義が国境を越え得ることを思い起こさせるものです」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの国際司法担当上級顧問ミシェル・レイエス・ミルク氏は、6月2日に公表された声明の中で述べた。

2026年6月3日、カラカスのエル・エリコイデ刑務所の外で、ベネズエラのボリバル国家警察の警備のもと、政治犯の釈放を求めるプラカードを掲げる女性。[JUAN BARRETO / AFP]
2026年6月3日、カラカスのエル・エリコイデ刑務所の外で、ベネズエラのボリバル国家警察の警備のもと、政治犯の釈放を求めるプラカードを掲げる女性。[JUAN BARRETO / AFP]

その前日の6月1日には、アムネスティ・インターナショナルも独自の立場からこの問題について見解を示していた。

「ベネズエラで行われたような人道に対する罪は、国際社会全体の良心を揺さぶり、過去および将来の人権侵害や国際法上の犯罪から被害者を守るための具体的な行動へとつながらなければなりません」と、アムネスティ・インターナショナルの米州局長アナ・ピケール氏は、6月1日に公表された声明の中で述べた。

この身柄引き渡し事件は、ベネズエラが直面するより広範な惨状の規模と比べれば、小さな法的手続きにすぎない。

しかし、この事件はより大きな現実を映し出している。2014年の抗議デモから12年近くが経過し、さらに米軍がニコラス・マドゥロ大統領を権力の座から排除してニューヨークへ移送し、麻薬密売容疑で起訴されてから5か月が過ぎた今なお、ベネズエラの被害者にとっての正義の実現は遅々として進まず、断片的なものにとどまっている。そしてそれは、ベネズエラの制度が果たせない役割を、カラカスから遠く離れた国々が引き受ける意思を持つかどうかに依存しているのである。

三つの危機が同時に進行

ベネズエラ国内では700万人が人道支援を必要としており、その多くが基礎的な医療サービスや十分な栄養を受けることができない状況に置かれている。

欧州委員会は、2016年以降5億7,200万ユーロ(約6億6,000万ドル)を超える人道支援を拠出してきたが、2026年のベネズエラについて、「脆弱で不確実性に特徴づけられた移行期」にあると説明している。インフレは人々の購買力をむしばみ、食料不安は依然として深刻であり、精神的健康の問題や心理社会的苦痛も国民全体で深刻化しているという。

2025年には、ベネズエラ人道対応計画(Humanitarian Response Plan)に必要とされた6億ドル超の資金のうち、実際に集まったのはわずか17%にとどまった。

国連当局者は、資金拡充がなければ、支援ニーズが一段と高まっているこの時期に、援助機関は支援活動の縮小を余儀なくされると警告している。

2026年についても状況は改善していない。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、ベネズエラ国内および周辺地域のベネズエラ人を支援するために3億2,820万ドルの資金を必要としているが、3月末時点で確保できていたのはそのわずか12%にすぎなかった。

亡命の波と帰還という問い

2014年以降、約800万人のベネズエラ人が祖国を離れ、そのうちおよそ690万人はラテンアメリカおよびカリブ海地域の国々へ移住した。

これはラテンアメリカ・カリブ海地域の歴史上最大の避難民危機であり、世界でも最大級の人の移動の一つとなっている。その影響は、ボゴタからリマ、サンティアゴに至るまで、労働市場、学校制度、地域社会のあり方を大きく変えつつある。

マドゥロ政権崩壊後の政治的断絶は、この国外流出を終わらせるには至っていない。しかし、それをめぐる議論のあり方は変えつつある。

2026年1月から3月にかけて、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が6か国に暮らすベネズエラ人1,288人を対象に実施した調査では、国外で生活する人々の約3分の1が、国内の状況が改善すれば帰国を検討すると回答した。

しかし、回答者の約60%は、帰国後にどのような状況が待ち受けているのかについて信頼できる情報が不足していることを帰国の障壁として挙げた。また、帰国することで受け入れ国における自らの法的地位がどのような影響を受けるのか分からないという不確実性も、大きな懸念材料となっていた。

帰国を望むことと、実際に帰国できることの間には大きな隔たりがある。というのも、ベネズエラ国内には、大規模な帰還の波を受け入れるのに必要な数の雇用が、いまだ十分には存在していないからである。

一方で、国内の基礎的な公共サービスは依然として不安定な状態にあり、マドゥロ大統領の失脚後にデルシー・ロドリゲス暫定大統領が率いることとなった政治移行も、一定の開放的な姿勢を示してはいるものの、亡命者の多くが「荷物をまとめて帰国する前に見届けたい」と考えるような、安定した選挙によって正統性を得た政府の実現には、いまだ至っていない。

ロドリゲス氏は1月31日、恩赦法案を発表し、「1999年から今日に至るまでの政治的暴力の全期間を対象とする一般恩赦法を推し進めることを決定した」と述べた。

3月までに、621人の政治犯が釈放されたことが確認された。しかし、人権団体フォロ・ペナル(Foro Penal)によれば、なお500人以上が拘束されたままであるという。

制裁は変化しつつあるが、その歩みは遅い

ワシントンは、10年以上にわたってベネズエラに対して積み重ねてきた経済的圧力を、段階的に緩和する方向へと動いている。

4月2日、米財務省はロドリゲス氏本人に対する制裁を解除した。国際メディアはこれを、米国が同氏を正統な権限を有する指導者として認める姿勢を示した最新の動きであると報じた。

3月から5月にかけて、米財務省外国資産管理局(OFAC)は一連の一般許可を発行し、ベネズエラの鉱業・エネルギー部門への投資の道を開いたほか、最近では、債務再編の可能性をめぐる交渉を認めた。

ロドリゲス氏は公然と反発し、「制裁のないベネズエラ」を求めるとともに、これまで認められてきた限定的な制裁緩和では、打撃を受けた同国経済を安定させるには不十分だと主張した。

一方で、独立系の経済学者たちは、最近の雪解けムードがあったとしても、この20年間にベネズエラの石油産業、銀行システム、そして公的機関に生じた構造的な損傷は、米財務省によるわずかな一般許可の発行だけで元に戻るものではないと指摘している。

圧力にさらされる地域社会

数百万人のベネズエラ人を受け入れている各国政府にとって、カラカスにおける政治的変化は、日々の負担を軽減するには至っていない。チリ、コロンビア、ペルーでは、移民問題が選挙戦の主要な争点となっている。

この地域で最大級のベネズエラ人コミュニティを受け入れているコロンビアとブラジルは、比較的進歩的な政策を採用している国として、繰り返し言及されてきた。

両国では、ベネズエラ人の大多数が何らかの法的地位を取得することができている。しかし、その多くは依然として一時的なものであり、効果的な長期的保護を保証するものではない。

今週、スペインとアルゼンチンの裁判所で進められているこの身柄引き渡し事件によって、それらの問題のいずれかが解決されるわけではない。しかし、2014年に命を奪われた人々の遺族にとって、2021年以降に拘束された3万人を超える人々にとって、そして祖国を離れた800万人にとって、元ベネズエラ将校が近くブエノスアイレスの法廷に立つかもしれないという事実には意味がある。それは、誰かが、どこかで、ついに責任を問われるかもしれないということだ。

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