国際問題

ウクライナ戦争がロシア産木材輸出を加速させ、壊滅的な影響をもたらす

クレムリンがウクライナでの戦争を続けるための収入源を模索する中で、ロシアの森林が戦争経済の一部となりつつある。その結果、世界的な影響を及ぼす深刻な環境破壊が生じている。

2023年2月10日、北部のアルハンゲリスク州にあるウスチアンスキー木材複合施設を訪問するロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)。 [Alexander RYUMIN/SPUTNIK/AFP]
2023年2月10日、北部のアルハンゲリスク州にあるウスチアンスキー木材複合施設を訪問するロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)。 [Alexander RYUMIN/SPUTNIK/AFP]

Global Watch |

ロシアのウクライナ侵攻の資金源は、石油、ガス、金属だけではない。これらよりも控えめで注目されにくい業種にも依存している。木材はその一つだ。

利用可能なあらゆる収入源をロシアが模索する中で、クレムリンの戦争機械を支え続ける他のネットワークとともに、ロシアの広大な森林が戦時経済へとより深く組み込まれつつある。

貿易問題のように見えるこの動きは、環境問題でもある。そして、その影響はロシアの国境のはるか彼方まで及んでいる。

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界全体の森林面積の約5分の1をロシアが占めているため、この問題は重大なのである。

2021年、ロシアの首都モスクワの北東500キロメートルに位置するヴォログダに近い森林地帯で、切り倒された木々を機械が積み上げている様子。 [Dimitar Dilkoff/AFP]
2021年、ロシアの首都モスクワの北東500キロメートルに位置するヴォログダに近い森林地帯で、切り倒された木々を機械が積み上げている様子。 [Dimitar Dilkoff/AFP]

ロシアでの森林伐採の圧力が高まれば、その影響はその地域だけにとどまらない。生物多様性の喪失が進み、二酸化炭素排出量が増加し、世界的な森林破壊を加速させることになる。

森林を収入源に

クレムリンは、戦争に莫大な資金を投入し、まだ利用できる輸出部門から可能な限り収益を吸い上げている。

2024年9月、ロイター通信は、ロシアが2025年の国防費を13.5兆ルーブル(1,450億ドル)に大きく引き上げたことを報じた。これは前年比25%の増加であり、GDPに占める割合としては冷戦以降で最も高い水準だ。

この体制下では、木材のような業種は政治的な脚光を浴びないかもしれないが、その重要性は変わらない。

制裁の圧力が続くロシアにとって、経済面での最も重要なライフラインの一つとなっているのが中国だ。中国側も、資源を安定的に確保するため、資源に重点を置いた対外関係を強化し続けているのである

この二国間の貿易額は、2024年に過去最高となる2,448億ドルに達した。東方市場へ移行する動きの中核をなしているのが、木材をはじめとする原材料だ。欧州市場との貿易が制限または禁止されるにつれ、より多くのロシア産木材が中国やその他の新たな買い手に供給されるようになった。

これは決して健全な貿易ではない。ロシアの当局者や環境保護団体は、長年にわたり、中国への木材輸出が違法で破壊的な森林伐採と密接に結びついていると警告してきたのである。

2019年のインタビューで、当時の天然資源大臣だったドミトリー・コビルキン氏は、中国の買い手が違法木材を運び出し、ロシアがその後始末をしなければならない状況に苦言を述べた。同氏は「中国の買い手が現れ、(違法な)木材を買い占めて、その残骸の撤去を我々に押し付けていく」と語った。

世界自然保護基金(WWF)は、ロシアの林業の一部、特に極東地域に「犯罪が根深くはびこっている」と述べ、法執行が機能していないため大規模な違法伐採が横行していると指摘している。

戦争により、これらの問題はさらに制御困難になった。制裁によって世界市場からロシア産木材が消えたわけではない。単に流通経路が変わっただけであり、木材は市場から消えるどころか、より不透明なサプライチェーンを介して流通することが増えたため、法執行が機能しにくくなり、監視も困難になっている。

ロシアだけにとどまらない影響

この移行は現在、より広範囲にわたり国際的リスクを招いている。

2025年1月、調査団体「Earthsight」は『Blood-stained Birch』(血に染まった白樺)という報告書を公開した。この報告書には、制裁対象のロシア産およびベラルーシ産の白樺合板が、中国、カザフスタン、トルコなどの国々を経由して産地が偽装され、欧州の買い手に渡るまでの経緯が記されている。この白樺合板の価値は、2022年後半以降、15億ユーロ以上まで達している。

「World Forest ID」も同様に、ロシア産白樺製品が二次的なサプライチェーンを経由し、その本来の産地が不明確になっていることを指摘している。

これにより、二つの問題が生じている。

一つ目は、戦時経済により、まだ収益が見込めるあらゆる原材料を利用しようとするロシア政府の動機が強まっていることだ。

二つ目は、間接的な貿易ルートにより、規制当局、輸入業者、消費者が木材製品の実際の産地を把握することが困難になっていることだ。

研究者も、戦争が木材貿易をどう変化させたかを追い続けている。

専門誌『Forests』に2025年10月に掲載された研究では、侵攻によりロシア産木材の供給パターンが乱れ、変動性が強まり、中国の買い手が供給源の調整を余儀なくされたことが報告されている。

しかし、混乱が生じていても、森林への圧力が軽減されるわけではない。戦時下では、不安定さから、生産者はより速く資源を採掘し、より安く販売し、より脆弱な監視体制に依存するように追い込まれることがあり得る。

このことから得られる教訓は明らかだ。ロシアの森林は戦争経済とは切り離せないものであり、その一部なのだ。

クレムリンが経済面での圧力を解消するために原材料の輸出に依存している限り、今後も木材は経済的利用価値と政治的利便性を持ち続けるだろう。

これは、環境破壊も拡大し続けることを意味する。ロシアの森林で起きていることは、地域だけの話ではない。

戦争、貿易、そして機能しない法執行が結びつくことで地球規模で森林破壊を加速させる、壮大な構造の一部なのである。

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