新たな課題

ロシア国内インフルエンサー クレムリンのナラティブを拡散

EUによるRTとスプートニクの規制回避を図るモスクワは、草の根層を装ったインフルエンサーに資金提供して育成し、ウクライナへの支持弱体化と西側諸国の分断深化を画策している。

国家勲章授与式に出席する、戦争報道プロジェクト「WarGonzo」責任者兼特派員のセミョン・ペゴフ(2022年12月20日)。[kremlin.ru/70150/photos/69849]
国家勲章授与式に出席する、戦争報道プロジェクト「WarGonzo」責任者兼特派員のセミョン・ペゴフ(2022年12月20日)。[kremlin.ru/70150/photos/69849]

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2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻、ならびに欧州におけるロシア国営メディアへの規制強化を受け、クレムリンはより柔軟な情報工作モデルへと軸足を移しつつあると、専門家は分析している。

一見独立した立場の声を増幅させることで、モスクワは国営メディアに付きまとう不信感を回避し、西側の視聴者や占領下で暮らす人々に対し、より信憑性を帯びた形でナラティブを浸透させやすくなっている。

研究者らは、この手法は従来の国営プロパガンダよりも、親クレムリンのメッセージをより自然で地域に根ざしたものとして印象づけようとする狙いがあると指摘している。

この戦略は、対象国におけるインフルエンサー、コメンテーター、そして代理メディアの担い手らを一部活用している。

2026年3月15日、ギリシャ・アテネで撮影されたこの写真イラストでは、スマートフォンの画面に「フェイクニュース」の文字が表示され、背景のノートパソコンの画面にはTikTokのロゴが映し出されている。[Nikolas Kokovlis/NurPhoto/AFP]
2026年3月15日、ギリシャ・アテネで撮影されたこの写真イラストでは、スマートフォンの画面に「フェイクニュース」の文字が表示され、背景のノートパソコンの画面にはTikTokのロゴが映し出されている。[Nikolas Kokovlis/NurPhoto/AFP]
2022年4月9日、取材中のアリーナ・リップ。[1RNK/Wikimedia Commons/CC by 3.0]
2022年4月9日、取材中のアリーナ・リップ。[1RNK/Wikimedia Commons/CC by 3.0]

西側の声を巻き込む

ドイツ人コンテンツクリエーターのアリーナ・リップは、その最も顕著な事例の一つとなっている。

18万人超のフォロワーを擁するテレグラムチャンネルを運営する同氏は、ウクライナ戦争をめぐり、クレムリンのナラティブと整合するコンテンツを相次いで発信している。

2025年5月、欧州連合(EU)はリップに対し制裁措置を発動、同氏がロシアによるウクライナ侵攻をめぐる誤情報を組織的に拡散し、キーウ支援をめぐるドイツ世論の誘導を図ったと認定した。

同様の動向は、ロシアまたは親クレムリンのプラットフォームに出演し、NATOの役割や西側諸国の政策、ウクライナの正当性に疑問を呈する他の欧州コメンテーターをめぐる状況でも確認されている。

批判者らは、こうした関与が「独立した分析」を装って、反ウクライナ・反西側のナラティブをより広範な世論議論に持ち込む役割を果たし得ると指摘している。

ロシア諜報機関もまた 欧州全域で代理勢力のスカウトを積極的に進めており、 テレグラムを通じて脆弱な立場の移民らをも巻き込み、ウクライナ支援の弱体化と恐怖の拡散を目的とした偽情報キャンペーンの材料提供や破壊工作の実行を担わせている。

欧州における親クレムリンの情報工作をめぐる最近の調査によると、こうした「本物らしさ」こそが同モデルの要であり、ロシア国営メディアから直接発信される場合よりも、現地の議論に組み込まれた形で提示されたナラティブの方が、はるか広範に拡散し得るという。

現地で育成されるローカル勢力

さらに懸念されるのは、クレムリンがウクライナ占領地域内において、現地インフルエンサーのネットワーク構築に資金を投じている点だ。

マリウポリでは、ロシア当局が「ブロガースクール」を設置、住民や若者、児童生徒を対象に、ロシア支配下での復興状況や日常生活を伝えるコンテンツ制作の研修を行っている。

動画では、戦争で破壊されたものをロシアが復興させているというメッセージを前面に押し出し、新規住宅プロジェクトが繰り返し取り上げられている。

安全保障アナリストのアンドレイ・ソルダトフは、こうした現地の声が極めて重要だと指摘する。「ロシア中央部に住む人々に馴染みのある声をそのまま流用することはできない……これらの地域で暮らす人々にどう語りかけるかを理解した、現地の声を見出す必要がある」。

2022年のロシア侵略が、この拡大を直接的に後押しした。

2022年以降、欧州各地で従来の国営メディアが規制強化に直面する中、クレムリンは草の根を装った人物らを活用するハイブリッド型の情報工作へと軸足を移している。

これらの活動は、偽情報と標的型攪乱工作を組み合わせて西側の結束を弱体化させようとする、より広範なハイブリッド戦争戦略の一環を成している。

調査によれば、ロシア国営放送局RTが西側の動画ブロガーに資金を秘密裏に提供し、開示義務なしに親クレムリンのコンテンツを拡散させるよう仕向けるなど、隠蔽された報酬スキームも明らかになっている。

学界やシンクタンクは警鐘を鳴らしている。

戦略的対話研究所(ISD)および国境なき記者団(RSF)の報告書は、これらのネットワークを民主主義社会の基盤を侵食しようとするより広範な取り組みの一環と位置づけている。

強力な新たな3本柱の枠組みにより、ロシアが拡大を続ける偽情報工作の追跡、暴露、そして阻止が可能になった。

政治アナリストのグントラム・ヴォルフは、持続的な情報工作が社会の分極化を深め、安全保障上の脅威に対する協調的対応を弱体化させる恐れがあると警鐘を鳴らしている。

ロシアは軍事力強化を推し進める傍ら、インフルエンサー戦略も並行して展開し、国際世論の誘導と各国の抵抗弱体化を同時に画策している。

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