新たな課題

北朝鮮 核開発加速 国民生活の困窮深まる中

金正恩氏による核戦力増強は、飢餓に苦しむ数百万人の国民が既に困窮する中、国家資源をさらに圧迫し続けている。

2022年1月20日、ソウルの鉄道駅で、北朝鮮ミサイルのニュース映像が映るテレビ画面を見つめる女性。[Jung Yeon/AFP]
2022年1月20日、ソウルの鉄道駅で、北朝鮮ミサイルのニュース映像が映るテレビ画面を見つめる女性。[Jung Yeon/AFP]

Global Watch |

平壌が先日、第9回党大会を閉幕させ、核戦力のさらなる拡大方針を打ち出す中、軍拡路線と国民の窮状との対比が一層鮮明となっている。

このパターンは、より広範な循環に合致している。すなわち、大々的に報道される 軍事プロジェクトが国家的飛躍として位置づけられる 一方で、公共サービスや生活水準は悪化し続けている。

金正恩氏は、数百万人の国民が慢性的な食糧不足に直面する状況下でも、核兵器の増産と運搬手段の高度化を推進する方針を改めて表明した。

建造中の原子力潜水艦を含む先進兵器への注力は、既に困窮する国民から資源を奪い続ける形となっている。

2014年3月16日、北朝鮮で荷車を押す女性。[Roman Harak/Wikimedia]
2014年3月16日、北朝鮮で荷車を押す女性。[Roman Harak/Wikimedia]

飢餓再発の懸念

北朝鮮指導部は「先軍政治」路線を堅持し、限られた資源を兵器開発へ集中させる一方、国民の基本的な生活需要は満たされない状況が続いている。

国連の2025年2月報告書によると、人口の46%に当たる1180万人が栄養不足の状態にある。食料価格も高騰を続けており、平壌でのコメ価格は2023年末から2025年初めにかけてほぼ倍増している。

市場規制と不公平な国家配給が、農村部の世帯に最も深刻な打撃を与えている。

2025年3月、国連特別報告者のエリザベス・サルモン氏は、国境封鎖に伴う「飢餓の事例」が発生しているとして、春の端境期におけるリスク高まりに警鐘を鳴らした。

2025年2月の報告書で同氏はまた、北朝鮮の 「過度の軍事化」 が、経済的、社会的および文化的権利に充てられる資源を著しく減少させていると指摘した。

同特別報告者は、国家配給制度が「差別的かつ不規則」であり、忠誠派のみを優遇していると指摘した。今回の危機が1990年代の飢饉を彷彿とさせるのは、政策の優先順位が当時と変わっていないためだ。

農村部の住宅建設が2025年、3万2000戸と目標を大幅に下回って急減する中、当局関係者は8700トン級原子力潜水艦の点検作業を進めていた。

2024年末までに最大55億ドル規模に達した対ロシア武器輸出は、北朝鮮の産業基盤と労働力の両方を枯渇させている。

北朝鮮国民でさえ、核開発計画を直接的な経済的負担と見なしている。

2018年、ある北朝鮮市民は米戦略国際問題研究所(CSIS)の調査に対し、「核兵器開発に政府資金がすべてつぎ込まれているため、我が国の経済発展は大きく阻害されている」と語った。

こうした事実は主流メディアの報道ではほとんど取り上げられないが、エリート主導の計画がいかにして一般市民を困窮させているかを浮き彫りにしている。

高まる外部からの脅威

国内への負担にとどまらず、平壌が加速させる核・ミサイル開発は、より広範なリスクを地域にもたらしている。

2月の党大会で金正恩氏は、「我が国の核戦力を拡大・強化する」と表明し、弾頭の増産、水中ミサイル、極超音速兵器および対衛星兵器システムの開発推進を承認した。

火星型ICBMや極超音速ミサイルの実験は、米国本土への脅威を現実のものとし、同盟諸国の防衛体制を逼迫させている。

原子力潜水艦は、生存性を備えた第二撃能力を可能にし、核の三位一体体制を完成させることになる。

1月、「38ノース」への寄稿記事でアナリストのヴァン・H・ヴァン・ディーペン氏は、固体燃料型ICBMや戦術兵器について、「[北朝鮮の]核戦力の信頼性と生存性向上に重要な役割を果たし得る」と指摘した。

ロシアとの関係強化、とりわけウクライナへの兵力派遣を通じ、平壌は兵器の実戦試験や技術獲得、外貨収入の確保を可能にしている。

同政権は米韓合同軍事演習への「攻撃的措置」を示唆する一方、自国の核戦力が正式に承認されない限り、非核化協議には応じない姿勢を堅持している。

北朝鮮の核戦力増強はしたがって、軍事的威信による国内統治の強化と、地域を揺さぶるパワー・プロジェクションという二つの狙いを同時に果たしている。

慢性的な飢餓、農村開発の停滞、資源の軍事転用―こうした人々への犠牲こそが、最も語られることのない代償であり続けている。

金正恩氏が新たな5カ年目標を掲げる中、世界は数百万人の苦難の上に築かれた、より危険な核の脅威と対峙することになった。

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