国際問題
オマーンでのイランと米国による協議の背後に潜むロシアの核支援
米国政府とイラン政府がマスカットで間接的なメッセージを交換する裏で、ロシア政府が核技術、核物質、資金を密かに提供しているとみられる動きがあったため、イランの核開発に対する不安が広がっている。
![2月7日、テヘランの売店で、イランと米国による初の協議を伝えるイランの日刊紙が陳列されている様子を収めた写真。 [Atta Kenner/AFP]](/gc7/images/2026/02/12/54546-afp__20260207__96h37wh__v1__highres__iranusdiplomacy-370_237.webp)
Global Watch発 |
2月6日にオマーンで行われた米国とイランによる直近の核協議で、数ヶ月にわたる膠着状態を抜け出し、暫定的ながらも協議が再開された。
それらは同じ週に起きた、より広範な軍備管理の衝撃を背景に展開した。米国は2月5日に新STARTの枠組みが失効したと発表し、ロシアと中国を含む、より広範な「新たな枠組み(new architecture)」の構築を推し進めた。
イランのアッバース・アラーグチー外相はオマーンでの協議を「良いスタート」と表現し、協議の焦点がイラン政府の核計画に厳密に絞り込まれ、弾道ミサイルは「交渉対象外」として議論から外されたと付け加えた。
米国からは、スティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏が特使として派遣された。マスカットのアル・アラム宮殿で行われた間接的協議で、オマーンのバドル・アル・ブサイディ外相が両陣営の部屋を行き来する形となった。
ドナルド・トランプ大統領は、この協議を「非常に良い」と評価したが、軍事的な脅威について協議する可能性を排除せず、イランの最高指導者に「十分に注意すべきだ」と警告した。
しかし、こうした表向きのやり取りの裏には、一般報道では見過ごされがちな、イランとロシアの協力関係という構造が存在する。
ロシア政府の役割は、公表されている原子炉の取引にとどまらない。機密性の高い核関連データ、原材料、資金が密かに提供されており、これらがイランの能力強化を加速させる可能性がある。
互いの制裁回避の中で構築されたこの提携関係により、オマーンでの脆弱な前進が損なわれるおそれがある。
秘密裏に行われる技術提供
ロシアは長年にわたりイランに核技術を提供してきた。しかし、最近の動きから、あまり報道されないが、より密接な交流の存在を伺わせる。
2025年、ロシア政府とイラン政府は包括的戦略協定に署名した。この協定は、共同燃料製造技術を含む、民生用原子力分野での協力拡大を重視する内容だ。
専門家によると、ロシアは高度な濃縮技術を提供しているという。これはイランが「基準に達した状態」、つまり、全面的な軍事化をせずに兵器級物質を生産できる状態になるのを後押しする可能性がある。
これは、ロシアが低濃縮ウラン燃料を供給し、使用済み燃料棒を回収して核拡散リスクを抑制するブーシェフル原子炉の枠を超えた動きだ。
イラン政府とロシア政府の幅広い「架け橋」には、体系的な教育と交流も含まれる。これには、ブーシェフル関連の協力を通じてロシアの技術機関で訓練を受けるイラン人学生 や、最近では、教員交流や共同プログラムを支援する大学間協力の広がりなどが挙げられる。
あまり知られていないが、ロシア政府がイランの過剰な高濃縮ウランを輸出し、原子炉用に適応させることを提案したとする報告がある。こうした活動で、秘密裏に進められる軍事化の取り組みを隠蔽できる可能性がある。
こうした動きの中で、遠心分離機の二重用途の部品が提供されている。この部品は、ロシアが圧倒的な優位性を保つウラン転換技術(世界全体の濃縮能力の最大46%を掌握)から生み出されたものだ。
一方、イランは、この部品を活用してフォルド・ウラン濃縮工場の能力を強化し、ロシアの技術指導を受けて濃縮工場を同位体生産が可能な施設に密かに変えているという。
こうした技術移転は「民生用」の名目のもとで行われるため、広い監視の網を逃れている。
しかしこれは、「監視がなければ数週間で初歩的な核兵器を製造できる」とされるイランの核製造の潜在能力を維持する戦略と合致している。オマーンでの協議では透明性が強調されているが、ロシア政府の技術提供によってその透明性は静かに失われつつある。
露呈した経済的ライフライン
ドローンや兵器の取引に比べて目立たないが、経済的支援が、この同盟のもう一つの柱を形成している。
ロシアはブーシェフルやシリク、カルーンなどの候補地に4基の新たな原子炉を建設するため、250億ドルを拠出することを明言した。イラン政府は債務を削減することで、この計画を進展させる見込みだ。
ロスアトムを通じて提供されるこの資金は、イランが制裁により毎年数十億ドル規模の石油収入を喪失して被る損失を相殺するのに活用される。
ロシア政府は、中東における米国の影響力に対抗する手段としてイランを利用しつつ、契約を締結することで経済的利益を得る。
イラン政府は、その見返りとして、ロシアのウクライナ作戦に必要な軍事装備を提供している。ドル建て制裁を回避する物々交換システムを構築する形だ。
2025年にロシアがイランの濃縮ウラン備蓄の撤去を提案したことで、この経済的連携は最高潮に到達した。この動きにより、イラン政府はオマーンの監視の中で時間稼ぎができた。
しかし、提供される物質には拡散リスクの高い同位体が含まれる可能性があり、緊張をエスカレートさせるリスクがある。
アラーグチーが制裁緩和を求め、トランプが検証可能な制約を要求するなど、オマーンでの交渉が長引く中で、ロシアの影が大きく広がっている。
この提携関係は、イランの核計画を維持すると同時に、不安定な地域におけるリスクを増幅させるものだ。
こうした水面下での結びつきに対処しなければ、オマーンでどのような合意が結ばれたとしても、それは表面的なものに過ぎない。
ロシア政府の技術的、物質的、経済的支援は、イランの核開発の基盤を確かなものとすると同時に、交渉を形骸化させ、核開発がより深く定着する結果をもたらすだろう。世界中の監視機関は、核拡散の連鎖を回避するため、こうした結びつきを精査しなければならない。