国際問題

EU市民の大半がロシアとの戦争を「高いリスク」と認識=世論調査

調査によると、回答者の51%が、今後数年以内にロシアが自国と戦争を起こす可能性は「高い」または「極めて高い」と考えていることが明らかになった。

ロシア国営通信社スプートニクが配信したこの写真は、12月9日、モスクワのクレムリンで行われた「祖国の英雄の日」記念式典で演説するウラジーミル・プーチン大統領を捉えたもの。【ウラジーミル・ゲルド/プール/AFP】
ロシア国営通信社スプートニクが配信したこの写真は、12月9日、モスクワのクレムリンで行われた「祖国の英雄の日」記念式典で演説するウラジーミル・プーチン大統領を捉えたもの。【ウラジーミル・ゲルド/プール/AFP】

AFP |

フランスの国際関係誌『ル・グラン・コンティナン』に掲載された世論調査会社クラスター17(Cluster 17)の調査によると、欧州連合(EU)加盟9カ国の大半の市民が、EU加盟国とロシアとの間で戦争が勃発するリスクを「高い」と見ている。

この世論調査の結果は、9カ国から約1万人を対象としたサンプルに基づくものであり、ロシアが2022年にウクライナへ全面侵攻して以来3年半以上続く紛争の最中、 戦火がさらに拡大する懸念が高まるなか

フランス軍の最高幹部であるファビアン・マンドン氏は先月、ロシアが2030年までに新たな対立に備えていると警告した。一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今月初め、「欧州が戦争を望むのであれば、我々はただちに戦える状態にある」と述べていた。

この世論調査によると、回答者の51%が、今後数年以内にロシアが自国と戦争を起こす可能性は「高い」または「極めて高い」と回答した。調査は11月末、9,553人を対象に実施された。

調査対象国はフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランド、ポルトガル、クロアチア、ベルギー、オランダの9カ国で、各国とも1,000人以上を対象にサンプルを取得した。

ロシアとの公然たる武力衝突への懸念は、国ごとにばらつきが見られた。

テロの脅威

ロシアおよびその同盟国ベラルーシと国境を接するポーランドでは、回答者の77%がそのリスクを「高い」または「極めて高い」と評価した。

この数値はフランスで54%、ドイツでは51%まで低下した。

一方、イタリアでは回答者の65%がそのリスクを「低い」または「皆無」と見なしていた。

一方で、今後数年以内に中国との戦争が起きる可能性は「ほとんどない」または「まったくない」と回答した人は81%に上り、圧倒的多数を占めた。

欧州各国で徴兵制を巡る議論が活発化するなか、フランスが任意の軍事奉仕制度を再導入する動きを示すなどしているが、調査回答者の多くは、自国の軍隊がモスクワに立ち向かう能力に対して懐疑的な見方を示した。

回答者の69%が、自国はロシアの攻撃に対して「まったく」あるいは「ほとんど」防衛できないと答えている。

調査対象国の中で唯一核兵器を保有するフランスでは、他国に比べて悲観論が最も少なく、44%が自国はロシアの攻撃に対して「ある程度」または「かなり」防衛できると信じていると回答した。

一方、調査対象国の中で最も防衛能力に懐疑的な見方が強かったのはベルギー、イタリア、ポルトガルで、それぞれ87%、85%、85%が自国は防衛できないと回答した。

「テロ」は依然として欧州世論にとって最も切実な脅威となっている。調査対象の9カ国全体で、回答者の63%が「テロ組織」との公然たる武力衝突のリスクを「高い」または「極めて高い」と見なしていることが、この世論調査で明らかになった。

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