防衛動向

同盟国間の軍事協力の強固さを示す「オペレーション・ハイマスト」と「ステッドファスト・ヌーン」

これらの演習は、高まる脅威に直面する中で、西側諸国の備えの整い、結束、そして決意を示すという共通の目的を共有している。

Global Watch発 |

地政学的緊張が高まる時代において、軍事的同盟およびパートナーシップはかつてないほど重要となっている。

最近実施された二つの作戦—英国の空母打撃群(CSG)が主導した「オペレーション・ハイマスト」と、NATO(北大西洋条約機構)の年次核演習「ステッドファスト・ヌーン」—は、高度な空母打撃群、核・通常両用航空機、そしてNATOの核抑止政策が一体となって、同盟国間の相互運用性を高め、軍事的侵略への抑止力を強化していることを浮き彫りにしている。

これらの演習は焦点を異にするものの、高まる脅威に直面する西側諸国の備えの整い、結束、そして決意を示すという共通の目的を共有している。

英国の「オペレーション・ハイマスト」は、現代における海軍による力の投影を象徴する好例である。空母打撃群25(CSG25)が8カ月間にわたり展開したこの作戦は、旗艦「プリンス・オブ・ウェールズ」を中核に、地中海、中東、インド太平洋地域を横断し、日本、豪州、インドなどの同盟国・友好国との共同演習を実施した。

2022年10月18日、ベルギー空軍のF-16戦闘機が、ベルギー・クレーヌ=ブローゲル空軍基地で実施されたNATOの空中核演習「ステッドファスト・ヌーン」に参加した。[Kenzo Tribouillard/AFP]
2022年10月18日、ベルギー空軍のF-16戦闘機が、ベルギー・クレーヌ=ブローゲル空軍基地で実施されたNATOの空中核演習「ステッドファスト・ヌーン」に参加した。[Kenzo Tribouillard/AFP]

「オペレーション・ハイマスト」の本質は、英国が第五世代戦闘機F-35BライトニングIIを陸上および海上から展開し、同盟軍との間でシームレスに連携する能力を示した点にある。豪州で実施された「タリスマン・セイバー」や、インドとの「コンカン25」などの演習では、海軍および航空部隊の相互運用性が検証された。また、各地への寄港を通じて外交的絆も一層強化された。

今回の展開は、抑止力に関する明確なメッセージも発した。英国は南シナ海のような緊張が続く海域での活動を通じ、国際法と航行の自由を擁護する決意を改めて示したのである。

一方、NATO(北大西洋条約機構)の「ステッドファスト・ヌーン」は、同盟の安全保障戦略の根幹をなす核抑止に焦点を当てる。毎年実施されるこの演習には、核・通常両用航空機(DCA)、爆撃機、空中給油機、偵察機など60機以上の航空機が参加する。

これらの航空機は、NATOの核共有(nuclear-sharing)枠組みのもと欧州に配備された米国の核兵器の運用を想定した演習を実施するものだ。「ステッドファスト・ヌーン」は威圧的な軍事的誇示ではなく、NATOの核抑止力の安全性、確実性、そして効果性を保つための定例的な訓練活動である。

ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダなど複数の同盟国が参加することで、この演習はNATO加盟国間の相互運用性を一層強化している。参加国のパイロットや整備要員は共同で訓練を行い、統一された指揮系統および標準化された手順のもとで運用を行うスキルを磨いている。

今回の演習は、オランダ空軍のF-35A戦闘機が核任務への就役準備完了を宣言された節目の場ともなった。これにより、NATOの核抑止能力はさらに近代化が進んだ。

これらの作戦はいずれも、現代の抑止戦略における核・通常両用航空機(DCA)および空母打撃群の重要性を浮き彫りにしている。DCAは通常兵器と核兵器の両方を搭載可能であり、作戦上の柔軟性を提供するとともに、NATOの核共有(nuclear-sharing)体制を強化する役割を果たしている。ベルギー、ドイツ、イタリアなどの加盟国がDCAを運用することで、核抑止に伴うリスクと責任が同盟全体で共有されている。

「オペレーション・ハイマスト」における英海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」のような空母打撃群は、まさに海上に浮かぶ航空戦力の要塞である。これらは各国がグローバルに軍事的プレゼンスを示し、共同演習を実施し、危機に即応することを可能にする。F-35B戦闘機が日本の護衛艦「かが」など同盟国の空母と統合運用されることで、緊張が高まる地域における脅威に対処するために不可欠な相互運用性が実証されている。

相互運用性は、こうした作戦を一体に束ねる「接着剤」であり、戦力を飛躍的に高める乗数効果(フォース・マルティプライヤー)をもたらす。それが顕著に表れているのが、「ステッドファスト・ヌーン」におけるNATO加盟国間の核任務における緊密な連携や、「オペレーション・ハイマスト」での英国とインド太平洋諸国との協力である。国境や陸海空といった領域を超えて、円滑かつ一体的に作戦を遂行する能力が、いまや不可欠となっているのである。

例えば、F-35B戦闘機が両演習に共通して投入されたことからもわかるように、先進的なプラットフォームは共同作戦の質を高める上で極めて重要だ。世界中で調達が進むこの航空機は、欧州であろうとインド太平洋地域であろうと、同盟軍との間で「シームレスに飛行し、一体となって戦う」ことを前提に設計されている。

これらの作戦はいずれも、軍事的挑発や侵略を抑止する目的を担っており、西側諸国が結束し、常に準備を整え、自らの利益を守る能力を備えていることを明確に示している。「ステッドファスト・ヌーン」によって裏打ちされるNATOの核抑止政策は、加盟国に対するいかなる攻撃も、圧倒的な力をもって応酬されるという確信を同盟全体に与えている。

この演習は、NATOが加盟国を守るという決意を明確に示している。「オペレーション・ハイマスト」における航行の自由作戦や各種演習は、英国が自由で開かれたインド太平洋の実現に向けたコミットメントを再確認するものだ。

「オペレーション・ハイマスト」と「ステッドファスト・ヌーン」は、高度な軍事能力、戦略的同盟関係、そして定例的な演習がいかに相互運用性を高め、抑止力を強化するかを如実に示している。

侵略的な行動がますます頻発する世界において、これらの作戦は「結束」と「備え」こそが最良の防衛であることを改めて示している。NATOの核共有体制であろうと、英国の空母打撃群の展開であろうと、そのメッセージは明確だ。西側諸国は一致団結し、平和を守り、威圧を許さず、あらゆる侵略を抑止する決意である。

世界的な脅威が変化し続ける中、こうした演習の重要性は今後さらに高まっていくだろう。自由を守る諸国の軍事力が、常に強固で、最新鋭かつ即応可能な状態を維持し、いかなる挑戦にも立ち向かえるよう、これらの訓練は不可欠な役割を果たしている。

この記事は気に入りましたか?


キャプチャ *