戦略的課題

ノルウェーと英国がNATOの北極圏における防衛体制を強化

英国とノルウェーは、NATO北部の強化に注力しており、26型対潜水艦戦用フリゲート艦、無人システム、北極圏での訓練、弾薬の共有を通じて海底ケーブルとパイプラインの保護を強化している。

2025年11月19日、ロンドン中心部のダウニング街のブリーフィングルームで、スコットランド北岸沖で活動するロシア軍艦「ヤンタル」の画像を映している画面を背景に演説する英国のジョン・ヒーリー国防相。[Stefan Rousseau/POOL/AFP]
2025年11月19日、ロンドン中心部のダウニング街のブリーフィングルームで、スコットランド北岸沖で活動するロシア軍艦「ヤンタル」の画像を映している画面を背景に演説する英国のジョン・ヒーリー国防相。[Stefan Rousseau/POOL/AFP]

Global Watch発 |

北極圏で緊張が高まる中で、英国とノルウェーはルナ・ハウス協定を通じて、ロシアの侵略に対抗するための取り組みを強化している。

この協定は、NATOの北方を強化する画期的な防衛協定であり、その名称は第二次世界大戦中のノルウェーのレジスタンス運動のスコットランド本部に由来する。

英国領海付近でロシア艦艇の目撃が30%増加するなど、北極圏と北大西洋におけるロシア海軍の活動が急増する中で、英国とノルウェーは「NATOはこの地域の安定を損なう行為を許さない」という明確なメッセージを発している。

最先端の技術と揺るぎない決意に支えられた両国の協力体制は、ロシアの野望に対する強力な抑止力となる。

英国空母打撃群「CSG25」への参加のため、ベルゲンのハーコンスヴァーン海軍基地から出航したフリゲート艦「KNMロアール・アムンセン」を追って飛行する王立海軍のワイルドキャットヘリコプター。[Paul S. Amundsen/NTB/AFP]
英国空母打撃群「CSG25」への参加のため、ベルゲンのハーコンスヴァーン海軍基地から出航したフリゲート艦「KNMロアール・アムンセン」を追って飛行する王立海軍のワイルドキャットヘリコプター。[Paul S. Amundsen/NTB/AFP]

2025年12月4日に締結された この協定により、両国は「相互運用可能」を原則として英国製フリゲート艦の艦隊を共同運用できる。これにより、共同の海域における脅威の監視能力と対応能力が強化される。

ノルウェーのヨーナス=ガール・ストーレ首相はこれを「防衛協力と連携に関する 極めて重要な協定 」と強調し、「我々は海域と戦略的環境を共有している」と語った。

ルナ・ハウス協定は、英国とノルウェーの75年以上にもわたる協力関係を基盤としており、両国の同盟関係の揺るぎない強さを示すものだ。

両国は、1949年のNATO創設以来、肩を並べて欧州を防衛し、北極圏と北大西洋の安全を確保してきた。

キア・スターマー英国首相は声明で、「この世界的に不安定な状況が深刻化する中で、英国海域でロシアの船舶が頻繁に目撃されるようになったため、我々は国際的なパートナーと協力し、国家の安全を守らなければならない」と語っている。

「ノルウェーと結んだこの歴史的な協定は、我々の国境と、双方の国にとって不可欠な重要インフラを保護する能力を強化するものである」

欧州北方地域の防衛

ルナ・ハウス協定の中核となる目的は、海底に設置されたデータケーブルやエネルギーパイプラインといった重要インフラの保護である。これらは国際貿易と通信に不可欠なものである。

一例として、現役の海底ガスパイプラインとして世界最長級のランゲレッド・パイプラインが挙げられる。これはノルウェー産ガスを英国へ輸送するためのものだ。

新たな脅威に対応するため、英国とノルウェーの協力関係は対象範囲を拡大している。

協定の中心となるのは、先端技術を搭載した26型対潜水艦戦用フリゲート艦だ。これらは巡視活動のため、グリーンランド、アイスランド、英国を結ぶ戦略的に重要な海域に配備される。これらのフリゲート艦は、最先端のソナーと兵器を装備し、正確かつ効率的にロシア海軍の活動を監視し、重要インフラを防衛することを目的として設計されている。

ルナ・ハウス協定は海軍の合同活動の枠を越えて、迅速な配備と持続的な防衛が可能な13隻の26型フリゲート艦を運用する連合艦隊の創設を目的とするものだ。

また、英国とノルウェーは、NATOによる無人の機雷掃海システムと水中戦システムの導入を主導し、北極圏における防衛体制の新たな基準を確立している。

王立海軍のノルウェー製ナーヴァル・ストライク・ミサイルの導入と、魚雷「スティングレイ」に関する協力により、NATOの戦力はさらに強化される。

加えて、ノルウェーの氷点下の環境で王立海兵隊が年間を通じて訓練を行うことで、危機や戦時下の状況に迅速に対応できるよう準備が整っている。

英国とノルウェーの軍隊は、戦闘の対応能力と相互運用性を高めるため、長期にわたり共同演習を実施してきた。

こうした取り組みは、複数の同盟国の潜水艦、軍艦、航空機を動員した 協調的な対潜水艦戦を通じて 敵潜水艦の探知と無力化を訓練する「ダイナミック・マングース」などのNATOの演習を基盤としている。

ロシアへの警告

北極圏と北大西洋におけるロシアの活動の活発化は、NATOの決意に対する直接的な挑戦を意味する。しかしながら、ルナ・ハウス協定はロシア政府に対する強力な警告として機能している。

ロシアは核兵器の備蓄を拡大し続け、「ヤンタル」のような情報収集艦を配備している。ロシアの潜水艦の能力は依然として高度であり、英国とノルウェーの協力体制に劣らないほどの競争力を有している。

自律システムと最先端の弾薬に支えられた高度な26型フリゲート艦は、NATOの北方の安全確保に貢献する。

この協定は「NATOは北極圏の安定を損なうロシアの行為を許さず、英国とノルウェーは同地域を防衛する準備が整っている」という明確なメッセージとなっている。

英国とノルウェーの海軍の戦略的パートナーシップは、脅威の高まりの中での協力の価値を改めて示すものだ。

ロシアがNATOの決意に挑み続ける中、ルナ・ハウス協定により、北極圏および周辺地域における安全保障を維持するには団結と革新が不可欠であることが示されている。

この記事は気に入りましたか?