防衛動向

AUKUS目標を推進 同盟国間の相互運用性を強化

不確実な時代において、同盟国間の結束こそが平和と安全を確保する最も強力な手段である。

(左から右)オーストラリア外務大臣ペニー・ウォン、英国外務大臣デイビッド・ラミー、英国国防大臣ジョン・ヒーリー、オーストラリア国防大臣リチャード・マールズは、7月27日にジーロン条約として知られる新たなAUKUS協定に署名した翌日、オーストラリア・ダーウィンで空母打撃群を視察した。[英国外務・英連邦・開発省]
(左から右)オーストラリア外務大臣ペニー・ウォン、英国外務大臣デイビッド・ラミー、英国国防大臣ジョン・ヒーリー、オーストラリア国防大臣リチャード・マールズは、7月27日にジーロン条約として知られる新たなAUKUS協定に署名した翌日、オーストラリア・ダーウィンで空母打撃群を視察した。[英国外務・英連邦・開発省]

Global Watch |

先月、オーストラリアと英国の間で締結されたジーロン条約は、AUKUSパートナーシップにおける重要な節目となり、世界的な安全保障と相互運用性を強化するため、同盟国間の負担分担の重要性が高まっていることを浮き彫りにした。

各国が米国の重視する協調的防衛努力をますます受け入れる中、オーストラリア、英国、米国によるAUKUS三国間安全保障パートナーシップは、同盟国やパートナーが協力して新たな脅威に対抗し、インド太平洋をはじめとする重要地域の安定を維持できることを示す典型例となっている。

このパートナーシップは、2021年にオーストラリア、英国、米国の間で合意されたもので、オーストラリアの原子力潜水艦導入支援や先進軍事技術の共同開発を盛り込んでいる。

これはオーストラリア史上最大の防衛事業であり、キャンベラは今後30年間で3,680億豪ドル(2,400億米ドル)を投資する予定である。

この協定は、戦略的重要性を増すインド太平洋地域における中国の野心に対抗することを目的としている。

ジーロン条約は、7月26日にオーストラリアのリチャード・マールズ国防相と英国のジョン・ヒーリー国防相によって署名され、オーストラリアの新型潜水艦に関するAUKUSの「第1の柱」の下での二国間協力を確固たるものにした。

これにより、SSN-AUKUS潜水艦の設計、建造、運用、維持管理、廃棄に関する包括的な協力が可能となり、両国間の長期的な防衛統合が実現される。

英国国防省は、この条約の経済的利益を強調し、今後25年間で最大200億ポンド(271億米ドル)の輸出が見込まれると試算している。こうした経済面は、負担分担が安全保障を強化するだけでなく、防衛産業における革新や投資を促進することも改めて示している。

相互運用性の実践

AUKUSパートナーシップは単に潜水艦に関するものではなく、共通の課題に対処するために同盟国間の相互運用性を高めることに重きを置いている。

この取り組みは、19か国から4万人の兵士が参加したオーストラリア最大の軍事演習「タリスマン・セーバー」においても明らかとなった。同演習はオーストラリアと米国の共催で行われ、インド太平洋の安定維持に向けた共同作戦の予行演習としての役割を果たしている。

英海軍空母プリンス・オブ・ウェールズの派遣を含むタリスマン・セーバーへの英国の参加拡大は、同盟国軍の統合が進展していることを浮き彫りにしている。

このような演習は、負担分担がいかに作戦即応態勢へとつながり、同盟国が脅威に対して協調的かつ効果的に対応できることを示している。

AUKUS協定とジーロン条約は、現代の防衛戦略における負担分担の利点を示す典型例でもある。

資源、専門知識、能力を結集することで、同盟国は単独では達成できないより大きな安全保障上の成果を得ることができる。このアプローチは、多領域の脅威に対処するための協力を重視する米国の「グローバル統合多層防衛(GILD)」の原則にも合致している。

オーストラリア、英国、米国にとって、AUKUSはインド太平洋を超えて広がる共有の安全保障への取り組みを意味する。これは、世界的な安定を強化し、新たな課題に対処する手段として、他国が負担分担を受け入れる先例となる。

団結による強さ

地政学的緊張が高まる中、同盟国間の負担分担の重要性は、いくら強調してもし過ぎることはない。

ジーロン条約によって強化されたAUKUSパートナーシップは、各国が協力して先進的な能力を構築し、相互運用性を高め、重要地域の安定を維持できることを示している。

オーストラリア、英国、米国にとって、この協力は単なる防衛戦略ではなく、共有する価値観と相互の安全保障への取り組みである。他国が自らのパートナーシップ強化を目指す中、AUKUSは、負担分担が革新や経済成長、そして世界的安定を促進する手段となり得ることを示す模範となっている。

不確実な時代において、同盟国間の結束は平和と安全を確保する最も強力な手段であり続ける。AUKUS協定は、パートナーシップの強さと、変化する世界の課題に協力して取り組むことの永続的価値を示す証しである。

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