防衛動向
欧州連合(EU)は、ロシアとの戦争のリスクが高まる中、重要物資の備蓄を各国に呼びかけている
このブロック(EU)は、新たな備蓄計画の目的は、複数の危機が同時に発生した際にも主要物資の供給を維持することであると説明している。
![2024年2月24日、ポーランドのワルシャワで、女性がウクライナ国旗を身にまとい、EU旗の星の代わりにひまわりが描かれた旗(ウクライナとEUの連帯を象徴)を背に立っている。写真はロシアによるウクライナ侵攻から3年目を記念する集会でのもの。[写真:アレクサンドル・カルカ/NurPhoto/AFP通信]](/gc7/images/2025/07/21/51215-eu_flag-370_237.webp)
AFP通信およびGlobal Watchによる共同編集 |
欧州連合(EU)は、ロシアとの戦争の可能性が懸念される中、危機に備えて食料、水、燃料、医薬品といった生活必需品を備蓄する、初の計画を発表した。
ブリュッセルが打ち出した「備蓄戦略」は、北大西洋条約機構(NATO)が、現在EUの隣国ウクライナとの戦争を続けているロシアが、今後5年以内にNATO同盟国を攻撃する可能性があると警鐘を鳴らす中での発表となった。
27か国から成るEU同盟国は、2030年までに自国を防衛できるよう、軍備を強化し、広範囲にわたる備えの態勢整備に乗り出している。
「目標は極めてシンプルです。私たちの社会を支える、特に命を救うために必要な物資が常に確保されるようにすることです」と、欧州連合(EU)危機管理担当委員のハジア・ラヒブ氏は7月9日に語った。
「備えが進めば進むほど、パニックは小さくなります。」
デンマーク国防情報局(DDIS)の報告によると、ヨーロッパにおけるNATO諸国とEU全体に対する脅威は、 時間の経過とともにさらに高まると予想されている。。
ロシア、NATOとの戦争を準備中
「ロシアは自らを西側諸国との対立状態にあると認識しており、 NATOとの戦争に向けて準備を進めている」と、 2月9日のDDIS報告書は述べている。
「これは戦争開始の決定がすでに下されているという意味ではないが、ロシアは武装を進め、そのような決定を下すための体制を整えつつある」と報告書は指摘している。
DDISの分析によると、ロシアがウクライナと同時に、あるいは1つまたは複数のNATO同盟国と並行して戦闘を行うことは現実的ではないとされている。
EUは、新たな備蓄計画が「大規模な停電、自然災害、紛争、あるいはパンデミックなど、さまざまな危機の際にも、主要物資の供給を継続できるようにすることを目的としている」と説明している。
この計画は、各国の備蓄をより効果的に連携させるネットワークを構築し、備蓄の不足部分を把握するとともに、「EUレベルでの備蓄」を強化することを含んでいる。
EU市民の危機対策への備えの水準は、国によって大きくばらつきがある。
備蓄の推奨
フィンランドなど、EU東部国境でモスクワの脅威にさらされている同盟国は、以前から社会全体で潜在的な紛争に備える態勢を整えてきた。
「もちろん、ロシアと1,000キロにわたる国境を接していれば、戦争の脅威を感じるのは当然です」とラヒブ氏は語った。
「しかし、スペインでは山火事が起こりやすいと感じるのも普通のことです。対策には『正解』は一つではなく、国ごとの実情に応じた備えが必要です。」
ラヒブ氏は、危機の原因が紛争であれ自然災害であれ、停電といった市民生活への影響は類似したものになり得ると強調した。
「人々がエネルギー不足に陥るのを防ぐため、欧州連合(EU)全域で物資を備蓄する必要があるのです」と彼女は述べた。
3月、EUは備蓄計画の一環として、すべての世帯に対し、水や食料、懐中電灯などを含む3日間分のサバイバルキットを非常時に備えて準備しておくよう呼びかけた。