防衛動向
バルト海にロシアの脅威が迫る中、デンマークがドローン戦争に投資
このイニシアティブは、ウクライナの戦場で得られた教訓を活かし、デンマークが潜在的な侵略に対してより強靭になることを目的としている。
![3月28日、デンマークのオーデンセのハンス・クリスチャン・アンデルセン空港で行われたドローンセンター開設の記者会見の傍らで軍事用ドローンが撮影される。[マス・クラウス・ラスムセン/リッツァウ・スカンピックス/AFP]](/gc7/images/2025/04/24/50072-denmarke_drone-370_237.webp)
AFPおよびグローバルウォッチ発 |
ロシアのウクライナ侵攻が長引き、バルト海地域全体で緊張が高まる中、デンマークは、最先端技術を開発するため、新たな軍事用ドローンの試験センターを開設して国防の強化を図る。
同センターはオーデンセのハンス・クリスチャン・アンデルセン空港に設置され、同空港にはすでに欧州最大クラスのドローンテスト用の空域がある。UASデンマークテストセンターは、陸上と海上でほぼ2,000平方キロメートルの広さを誇っている。
「デンマークのドローン産業と、ドローンに関する学術環境は、デンマークのような国の規模では他に類を見ないものである」と、軍事技術研究者でデンマーク王立防衛大学助教授のアンドレアス・グラエ氏がAFPに対して4月に語った。
3月下旬にデンマークの国防省によって発表された軍事用ドローンの試験施設は、7億2500万デンマーククローネ(1億1000万ドル)の資金を受けることになる。このイニシアティブは、ウクライナの戦場で得られた教訓を活かし、デンマークが潜在的な侵略に対してより強靭になることを目的としている。
![3月28日、トロエルス・ルンド・ポールセン国防相(左)とケネス・ペデルセン国防副長官が、デンマークのオーデンセのハンス・クリスチャン・アンデルセン空港でドローンセンターの開設に関する記者会見を開く。[マス・クラウス・ラスムセン/リッツァウ・スカンピックス/AFP]](/gc7/images/2025/04/24/50073-den_drone2-370_237.webp)
2026年までに、約100名のデンマーク軍事要員がドローン操縦者としてそこで訓練を受ける予定である。この施設は、デンマークが技術的最前線に立ち続けるために、軍、民間企業、学術研究者の連携を支援する。
敵のレーダーを正確に特定する
このセンターは、南デンマーク大学の機械工学・電気工学の教授であるジェローム・ジュフロワ氏などの研究者を対象に、実際の軍事ニーズに合わせてプロジェクトを調整する機会を提供する。
「時々、私たちは金魚鉢の中にいるような状態になる」とジュフロワ氏はAFPに語り、次のように続けた。「私たちは解決策を考案しようとするが、それが本当に将来の戦闘で最も興味深いものになるのだろうか?」
新しいセンターに関しては、「戦術的な知識を得るつもりだ。ドローンはどのように使われるのか?作戦のために実際に開発できるベストなテクノロジーとは何なのか?」と語っている。
オーデンセのクワッドサット社の外では、衛星読み取りソフトを搭載したドローンが、最近行われたテスト飛行中に大きな音を立てて飛んでいた。10年前に設立されたこのデンマークのスタートアップ企業は、無線スペクトルを監視・管理するドローンを製造している。このドローンは、現在のウクライナなどの軍事的状況下で、敵のレーダーシステムの位置や動きを特定するのに役立つ。
「私たちの技術でできることは、その電磁波の発生源はどこなのか、どのように動いているのかを特定することであり、戦場に新たなインテリジェンスをもたらす」と、クワッドサットのCEO兼共同創設者であるヨアキム・エスペランド氏はAFPに語った。
ウクライナの戦争はドローンの実験場となり、業界の急速な成長を後押ししている。
「極めて重要な時期にいる」
「ウクライナの損失のほぼ70%はドローンによるものだ」とグラエ氏は語った。「デンマークの防衛産業では、特にソフトウェア会社で成長が見られるが、ロボティクス企業やドローン企業も同様である」
ジュフロワ氏は、この軍事用ドローン施設は、重要な局面で欧州の技術競争力を確かなものにするのに役立つだろうと述べた。
ロシアの侵略可能性の高まりが、より広範な軍備増強を強いていると、デンマーク当局が明確にした。
「欧州は自分たちを守るためにも、ウクライナを支援するためにも、もっと多くのことをしなければならない。なぜなら、私たちは世界史において極めて重要な時期にいるからである」と、デンマークのラース・ロッケ・ラスムセン外相は2月19日にコペンハーゲンでAFPに語った。
彼のコメントは、コペンハーゲンが「ロシアからの増大する脅威」に対応して、今後2年間で防衛費を500億デンマーククローネ(70億ドル)増額させると発表したわずか数時間後に述べたものだ。この増額により、デンマークの国防費はGDPの3%に達する。
2022年のロシアの侵攻以来、デンマークはウクライナに対して約75億ドルの軍事支援と約7億4100万ドルの民間支援を提供してきた。これはデンマーク外務省によれば、人口当たりでは、デンマークはキーウにとって最大の支援国の一つとなっている。
「私たちは初日からウクライナと協力してきた。これはウクライナだけの問題ではないと認識しているからだ。基本的には欧州の安全保障構造の問題である」とロッケ氏は述べた。
ウクライナが弱体化すれば、ロシアは数年内に隣国やNATOの同盟国を脅かす可能性があると彼は警告した。デンマークの最近の情報機関の報告書もこれに同意し、ウクライナ紛争が終結するか凍結されれば、ロシアは5年以内に欧州での大規模な戦争に向けて準備を整える可能性があると予測している。