国際問題
「ここにエボラはない」:誤情報によりコンゴ民主共和国の対応が停滞
コンゴ民主共和国でエボラにより数十人の命が奪われる中、誤情報が治療の遅れを招き、医療従事者への襲撃を煽るとともに、不信感を感染拡大との戦いにおけるもう一つの戦線へと変貌させている。
![ベルリンのシャリテ・ヴィルヒョー病院でエボラ対応訓練を行い、消毒液を使用する防護服姿の看護師たち(2026年6月9日)。[John MacDougall/AFP]](/gc7/images/2026/07/06/56577-afp__20260609__b6j26we__v1__highres__germanydrcongohealthvirusebola-370_237.webp)
AFP |
コンゴ民主共和国で致死性の高いエボラ出血熱の流行封じ込めに向けた取り組みを、誤情報が妨げている。ウイルスの感染拡大とともに、不信感も蔓延しているためだ。
「ここにはエボラなど存在しない。誰もが最高の人生を送っている」。コンゴ民主共和国にいると主張する女性が、広く拡散された動画の中でこう語った。
「エボラが存在するのはSNSや国際メディアの中だけだ」と彼女は語った。
Xで4万1000件以上の「いいね」を獲得した彼女の動画は、コンゴ民主共和国で既に115人の命を奪った今回の流行を取り巻く、誤情報の氾濫のごく一例に過ぎない。
![コンゴ民主共和国ブニアのスコット・パウエル記念エボラ治療センターで エボラ防護装備と安全手順の訓練を行う地元医療従事者たち(2026年6月11日)。[Jospin Mwisha/AFP]](/gc7/images/2026/07/06/56576-afp__20260611__b6r844x__v1__highres__drcongohealthebola-370_237.webp)
疫学者のヘメス・ンクワ氏によると、新型コロナの時と同様、偽りの主張は病気の存在を否定するものから、当局が金銭的利益のために捏造したと非難するものまで多岐にわたっているという。
オンラインだけでなく村の広場でも、突然の死を呪術のせいにする者がいる一方で、エボラは海外支援を引き出すために仕組まれた偽装工作だと信じる者もいる。
国際NGOアクションエイドの推計によると、感染拡大の中心地となっている北東部イトゥリ州では、3人に1人近くがエボラの存在を信じていないという。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェス事務局長は「誤情報はウイルスそのものとほぼ同等に危険であり、感染と同じ速さで蔓延する」と警告している。
殴り殺されかける
国際NGOアクションエイドの国別代表、サーニ・ヤクブ氏は、誤情報が治療の遅れを招き、多くの患者が手遅れになってから医療を求めていると指摘した。
さらに、家族が情報を隠し、医療従事者が家庭訪問を恐れるため、接触者の追跡も一層困難となっている。
国際NGOアリマのママドゥ・カバ・バリー氏はAFPの取材に対し、一部の支援活動家や政府職員が襲撃される事態も起きていると語った。
先月、イトゥリ州の病院で、患者の遺族が実在を信じない感染症の安全ルールを無視して遺体を引き取ろうとした際、NGOアリマのテント2張りが放火された。
バリー氏は、車両への投石や埋葬チームが繰り返し攻撃の標的となっている実態を明かした。
ブニア市では5月下旬、患者の遺族が安全埋葬にあたっていた作業員らに「殴り殺されそうになるほど」の暴行を加えた。
多くの遺族は、医療従事者が臓器を密売しているため、遺体が引き渡されていないと疑っている。
「現場で働く者たちは、疲労やストレス、献身的な活動に加えて、身の安全も確保される必要がある」とバリー氏は訴えた。
これらすべてが「通常の医療を提供する妨げになっている」と同氏は付け加え、濃厚接触や体液を介して感染するエボラとの戦いにおいて、情報がどれほど重要であるかを強調した。
根深い不信感
専門家によれば、誤情報はこれまでどのエボラ流行にも付いて回ってきたが、SNSの台頭とともに近年は急増しているという。
疫学者のンクワ氏は、これは単なる情報不足にとどまらず、より深刻な信頼の危機を浮き彫りにしていると指摘した。
「コンゴ民主共和国では、治安悪化や政治的緊張、貧困、そして時に公的機関に対する長年の不信感が根強く残る環境下で、これまでにも複数のエボラ流行が発生してきた」と同氏は指摘した。
ンクワ氏はAFPの取材に対し、「噂は往々にして情報の空白を埋め、人々が恐怖に意味を見出し、あるいは事態の解釈における主導権を取り戻す手助けとなる」と語った。
アクションエイドのヤクブ氏は、解決策は地域社会と密接に連携して信頼を再構築することであり、現地語で「情報を共有できる」地域大使を育成することも含まれると指摘した。
専門家によると、地域の指導者や生存者、さらにはンクワ氏が「強い社会的信頼」を有すると指摘する伝統医療師も、役割を果たし得るとされている。
「彼らが協力者となれば、その影響力は公衆衛生対策を大きく後押しできる」と同氏は語った。