戦略的課題

英国内の米軍基地で進む近代化改修 欧州の抑止力を強化

報道されている英国内の米軍のインフラ拡大には、同盟国内の大きな変化が反映されている。ロシアの戦争をきっかけに、NATOは警戒を強め、軍備を増強し、圧力に対する抵抗力を高めているのだ。

2020年6月15日、イングランド東部の村レイクンヒース付近で撮影された、米国空軍第48戦闘航空団の拠点であるRAF(英国空軍)レイクンヒース基地の入口を示す道路標識。[Chris Radburn/AFP]
2020年6月15日、イングランド東部の村レイクンヒース付近で撮影された、米国空軍第48戦闘航空団の拠点であるRAF(英国空軍)レイクンヒース基地の入口を示す道路標識。[Chris Radburn/AFP]

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米国政府による英国内の米軍基地に向けた数十億ドル規模の投資計画は、報道されているような核を保管するためのインフラだけを対象としたものではない。ロシアのウクライナ侵攻によりロシアの通常戦力の限界が表面化する中での、欧州における抑止力強化を目的とした同盟国による広範な取り組みの一環なのである。

米国防総省の文書では、英国内の米国の軍事および情報活動拠点の近代化改修に、42億ドル以上が投入される予定とされている。この計画には、報道されているRAFレイクンヒース基地における核兵器の保管に関連するインフラ整備のほか、RAFミルデンホール基地、RAFフェアフォード基地、メンウィズヒル基地の改修も盛り込まれている。

米国と英国はいずれも、特定の場所における核兵器の配備については明らかにしていない。しかし、この投資が示す戦略的方向性は明確だ。英国は同盟の航空戦力、情報活動、危機対応において、中心的拠点として再び重要性を増しつつある。これは、爆撃機の配備、核抑止力の演習、同盟軍による統合作戦などを通じて、すでに明らかになっている役割である。

抑止力の強化

この近代化改修は、ロシアによるウクライナへの全面侵攻によって変化した欧州の安全保障環境に適応するための、NATOの取り組みの一環だ。この侵攻により、欧州は抵抗力、適応力、そして戦争の未来像について改めて考えざるを得なくなった

2021年9月21日、ネバダ州ネリス空軍基地で、改修済みのB61-12核重力爆弾を積載した飛行試験において、F-35Aのパイロットによる飛行前点検が完了するのを待つ、第926航空機整備中隊に所属するクルーチーフのセバスチャン・ポクロン一等空兵。[Zachary Rufus一等空兵/米国空軍]
2021年9月21日、ネバダ州ネリス空軍基地で、改修済みのB61-12核重力爆弾を積載した飛行試験において、F-35Aのパイロットによる飛行前点検が完了するのを待つ、第926航空機整備中隊に所属するクルーチーフのセバスチャン・ポクロン一等空兵。[Zachary Rufus一等空兵/米国空軍]

ロシアはNATOの影響力を抑え、ウクライナへの西側諸国の支援を削ごうと図った。しかしながら、結果としてこの戦争はフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を後押しし、欧州の防衛予算を押し上げることとなった。さらに各国政府は、遠い将来の計画概念ではなく、差し迫った要件として防衛態勢の整備に取り組むようになったのである。

その変化は支出からも明らかだ。NATOによると、2025年に欧州の同盟国とカナダは防衛費を事実上20%近く増額した。EUの試算によれば、加盟国全体の防衛支出は約3,810億ユーロに達するとされる。

これらの数字は、欧州の軍事的な空白を解消するものではないが、ロシアが想定しなかった進展を見せている。

英国内のインフラに対する米国の投資も、こうした大きな流れに沿ったものだ。RAFレイクンヒース基地、RAFミルデンホール基地、RAFフェアフォード基地はすでに米国および同盟国の航空作戦を支えており、メンウィズヒル基地は情報収集や通信の役割を果たしている。

これらの拠点を強化することで、NATOの態勢が厚みを増し、保管能力、防護能力、兵站能力、監視能力、そして有事の際の部隊の迅速な移動能力が向上する。

ただし、これによって欧州の安全が完璧なものになるわけではない。ロシアは現在も、核戦力、ミサイルシステム、サイバー能力、そして膨大な損失を吸収する能力を保持しているのだ。

しかし、抑止力は多層的に構築されるものだ。航空機、潜水艦、情報システム、弾薬備蓄、基地強化、政治的決意のすべてにより、ロシアが軍事的エスカレーションの成功を確信できるかどうかが決まるのである。

限界に直面するロシア

ウクライナにより、ロシアの軍事力に対する見方は一変した。

2022年以前、ロシアは機動力の高い通常戦力のイメージを誇示していた。しかし、この戦争で明らかになったのは、それよりも限定的なものだった。ロシア軍には破壊能力と持続能力が備わっているが、多くの場合、それには非常に大きな代償が伴うということだ。

戦略国際問題研究所(CSIS)は2026年1月の評価報告書で、全面侵攻開始以降、ロシア側の死傷者は約120万人に上り、そのうち数十万人が死亡したと推定している。同報告書では、こうした人的損失は、質の低い戦術、不十分な訓練、汚職、士気の問題、諸兵科連合の失敗に起因すると指摘している。

ロシアは一部の地域で攻勢を続けている。しかし、その多くは決定的な軍事行動ではなく、消耗戦による緩やかなものだ。

装備面でも同様の傾向がうかがえる。アナリストによれば、ロシアは戦場での損失を補うため、旧ソ連時代の在庫や改修された装甲車両への依存度を高めているという。

国際戦略研究所の分析では、ロシアはしばらく戦争を継続できるが、兵力、装備の質、改修能力が圧迫されつつあるとしている。

このことが示すのは、崩壊ではなく疲弊である。

この違いは重要である。ロシアは決して無力な存在ではなく、力を使い果たしたかのように扱うべきではない。ロシアは弱体化したとしても、依然として危険な存在となり得る。特に、核による示威行動、破壊工作、ドローン攻撃、サイバー攻撃、そして西側諸国に敵対する国家との連携への依存度が高まれば、危険性はさらに増すだろう。

しかしながら、この戦争により、戦争前のロシアのイメージは失墜した。ロシアは、西側の情報、武器、経済的支援を得て準備を整えた欧州諸国を短期間で打ち負かすことはできないことを露呈したのである。ただし、甚大な政治的、経済的、人的代償を甘受することで、消耗戦を継続できることも示している。

だからこそ、米国と英国による基地の近代化改修は重要なのである。

こうした動きは、単独で勢力図を変化させるものではなく、将来の衝突に対する保証として解釈されるべきものでもない。積み重ねにより意義が生まれるのだ。

欧州の防衛費増額、NATOの新規加盟国、防空計画の拡充、弾薬生産の増加といった動きが重なり合うことで、ロシアが武力行使を通じて政治的利益を得ることが困難になる。

プーチンの戦争は、公言したいくつかの目的とは正反対の結果をもたらした。NATOの加盟国はさらに増えた。欧州の防衛費は増え続けている。英国は戦略的拠点としての役割を固めており、米国は主要なインフラを強化している。

その結果、西側が勝利したわけでも、ロシアが敗北したわけでない。ロシアの力は依然として危険だが、その実態が以前より明らかになり、欧州の安全保障環境は深刻化しているのだ。

報じられている英国内の米国による近代化改修も、この背景に即した動きである。改修自体は事態の深刻化ではない。遅すぎる対応がもたらす代償を学んだ欧州に向けた準備なのだ。

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