戦略的課題

ロシアの脅威に対応し、フランスが徴兵制を復活へ

この発表は、ロシアによるウクライナ全面侵攻から3年半以上が経過したタイミングで行われたもので、マクロン大統領をはじめフランス政府高官らは、モスクワがウクライナの国境で足を止めない可能性があると警鐘を鳴らしている。

2025年11月27日、フランス・アルプスのバルスにある軍基地で、エマニュエル・マクロン大統領が新たな国民軍事サービス制度を発表する演説を行った。マクロン氏は、2026年夏から任意制の軍事サービスを復活させると述べた。[トーマス・パディーリャ/AFP]
2025年11月27日、フランス・アルプスのバルスにある軍基地で、エマニュエル・マクロン大統領が新たな国民軍事サービス制度を発表する演説を行った。マクロン氏は、2026年夏から任意制の軍事サービスを復活させると述べた。[トーマス・パディーリャ/AFP]

AFP発 |

フランスは、ロシアがもたらす脅威が高まっていると判断し、来年から10か月間の任意制軍事サービスを導入する。

フランスが徴兵制を廃止してからほぼ30年が経った今、エマニュエル・マクロン大統領は11月27日、希望する若者が10か月間の軍事サービスに参加できると発表した。

「新しい国民サービスが導入され、来夏から段階的に始まる」と、マクロン氏はフランス南東部のバルス=アリエール=エ=リセットで兵士たちを前に演説した。

ただし、マクロン氏によると、志願者(主に18~19歳)は「国内のみに配属される」という。

この発表は、ロシアによるウクライナへの全面侵攻から3年半以上が経過した中で行われたものであり、マクロン大統領をはじめとするフランス政府高官らは、モスクワがウクライナの国境で足を止めない恐れがあると警告している。

「重大な危機が発生した場合には、議会が志願者にとどまらず、より広い層への招集を認める可能性がある」とマクロン氏は付け加え、「その場合、軍事サービスは義務となるだろう」と述べた。

「ただし、この例外的な状況を除けば、この国民サービスはあくまで志願者によるものであり、志願者は我が国の軍隊が抱えるニーズに応じて選抜される」と述べた。

マクロン氏によると、この新制度は来年夏からまず3,000人の志願者から始まり、その後段階的に規模を拡大し、2030年までに1万人、2035年までに5万人の若者を軍隊に組み入れる計画だという。

その大半は18~19歳の男女で占められ、残りは25歳以下で特定の専門資格を持つ者となる。

若者らはウクライナに派遣されることはない。

欧州には徴兵制を何らかの形で採用している国が十数カ国ほどあるが、軍事サービスの運用は欧州全体でばらつきがある。

しかしフランスは、近年徴兵制を復活させたバルト三国のラトビアやリトアニアなどとともに、欧州でこの制度を再導入する国々の仲間入りをすることになる。一方、デンマークなど他の国々もその条件を厳格化している。

現時点では、フランスの軍事サービスがかつてジャック・シラク大統領が1997年に軍改革の一環として廃止した徴兵制のように、義務制となるとの見解は示されていない。

軍事サービスは、兵員を補充して軍隊を強化する手段であるだけでなく、将来の戦争時に動員可能な多数の予備役人材を確保する役割も担っていると見なされている。

フランス軍の現役兵は約20万人、予備役は約4万7千人で、それぞれ2030年までに21万人、8万人へと増加させる計画だ。

大統領はまた、「我々が若者たちをウクライナに送り込むという誤解」を払拭したいと述べた。

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